『先生の白い嘘』は自由に、暴走するように描いています
――そういえば「モーニングtwo」(講談社)で連載中の『先生の白い嘘』は、そうした社会学や事件などへの興味が反映されたにおいを感じます。この作品はどのように立ち上がったんですか?
鳥飼 いや、その……かなり俗っぽい発想からのスタートですよ。女教師ものでどうでしょう、みたいな。地味な、眼鏡の女教師がちょっとエロいことをするのってキャッチーかなと。そんなノリで始まったんですが、この作品に関しては、かなり打ち合わせに時間をかけていますね。
――どんなところに一番時間を割いているのでしょう
鳥飼 一番は、「男性の性」について照らし合わせることですね。この作品は男女の性の性差みたいなところに焦点を当てていますが……男性から見たセックスというものが私にはわからないわけなので。けっこう赤裸々な話をしています。
――男性のリアルな生態を踏まえながら描くというのは、初めての試みですよね。
鳥飼 そうですね。でも、いくら男性の意見を取材しても、結局私は女目線でしか描くことはできないので、ここに出てくる男性はやっぱりファンタジーではあるんです。ここで言う「ファンタジー」はよく使われるロマンティックな意味ではなく、「想像上の」みたいな意味ですが。それなりにがんばって男性の声を聞いて、想像上の「日常」を描くけれども、リアルの追求とはまた別だと思っていただければ。
――以前に男性誌で連載されていた『おはようおかえり』(講談社)は、どちらかといえば『おんなのいえ』に近い雰囲気で。『先生の白い嘘』はまったくの新境地ですね。
鳥飼 かなり自由にやらせてもらっています。『おんなのいえ』は、それぞれのキャラクターを応援したり共感してくれたりする読者の目線を感じながら、「ついてきてくれるかな?」と思いつつ描いていますが……『先生の白い嘘』は追いかけてくれる人をあまり期待しないで描いているところがあるかな(笑)。
――ちゃんと追いかけてますよ(笑)。
鳥飼 そうですか? 自分では暴走しちゃってる感じですが。ちょっと乱暴に言うと、『先生の白い嘘』はあまりサービス精神はない作品かもしれません。一方的に手榴弾をガンガン投げこんでいるみたいな気分です。私自身、ある種傍観していて……この先どうなっていくんかなぁみたいな感じで描いています。
――そのスピード感が魅力なのだと思います! 最後に『おんなのいえ』が「このマンガがすごい! 2014」でオンナ編9位にランクインしたことについてのご感想をお願いします。
鳥飼 あの……ランキングに入ったことはとてもうれしかったです。そんなにたくさんの人に支持されるマンガだとは全然思っていなかったので意外だったんですけど。
――控えめですねぇ(笑)。
鳥飼 だってステキな成り行きでステキな男性と恋をして、うっとりするようなマンガじゃないですから……すみません、読者の方を気持ちよくさせている自信はないのでよくこんなランキングに入ってくれたなと。でも、私の描くようなマンガを好きになって応援してくださる方がたくさんいることがわかって……そうですね、1位、とってみたいです(笑)。
――その言葉が聞けてうれしいです!
鳥飼 『おんなのいえ』『先生の白い嘘』、そして新しく始まりました『地獄のガールフレンド』(「フィール・ヤング」連載中)ともども、よろしくお願いいたします。
前編はコチラ!
鳥飼茜『おんなのいえ』インタビュー前編 母と娘の“オンナ”の関係
プレゼントのお知らせ
鳥飼茜先生の直筆サイン入り『おんなのいえ』単行本第3巻を3名様にプレゼント!
下記の専用アンケートフォームから必要事項をご記入のうえ、ご応募ください。
鳥飼茜先生プレゼント応募フォーム
たくさんのご応募、お待ちしております!
プレゼント応募は締め切りました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました!
取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也