さらにお待たせしました(?)、中2に欠かせないアイテム、恐るべき「黒歴史ノート」との邂逅が! もちろん恥ずかしくて直視できないが、あの頃の情熱や夢が吹き荒れていて、はとこは「あてられて」しまう。 忘れていた夢であるマンガを描くことに挑戦、ということで13歳にしては高すぎる画力を隠しつつ、ひそかにBL(あ、どちらにしろ隠すやつか)マンガを描き始めてみることに。
中2をやり直すはとこを通して、90年代への郷愁に誘われて、夢多き思春期を甘酸っぱく思すのは、「歳をとるのも悪くない」とも感じられる。30年も生きればそれなりにコミュニケーション能力やスルースキルもついており、ついでにオタクとしての現実逃避能力も上がっているため、中学生男子の陰湿ないじめにあってもほとんど気にならない。
はとこは、その気になればかつて自分に嫌がらせをした相手に復讐することだってできそうなものだが、まったく興味を持たない。マンガ以外に心を寄せるのは、この時は健在であるおばあちゃんなど、家族のこと。
少々(?)言動が痛くても、そんな素直さを応援したくなる主人公なのだ。見た目は13歳、心は30歳のはとこにピンチは尽きないだろうけれど、この先、そう悪いことはないのでは?
作者の佐々木陽子は、同人誌持ちこみをきっかけにして、「COMICポラリス」で連載デビューを飾った新人作家だそうだ。
デビュー作ならではの新鮮なきらめきを味わうには、やっぱり、懐古よりもリアルタイムが「チョベリグ~!」ですよね!
<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。