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サウジ国王と1500人の大富豪来日! 玉の輿チャンスを逃がさない、富豪系アラブ男子のトリセツ【B級ニュース】

2017/03/21


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「サウジアラビア国王が来日」について。


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『サウジアラビアでマッシャアラー!』
笹木らいか(作)旭炬(イラスト) プランタン出版 ¥600+税
(2016年12月5日発売)

先週3月12日から15日にかけて、サウジアラビアのサルマン国王が来日した。
サウジアラビアの国王が日本を訪れるのは1971年のファイサル国王以来とのこと。46年ぶりとなるサウジ国王の来日に、世間の注目が集まった。

なにしろサウジアラビアは、日本の原油輸入元のトップであり、そのシェア率はおよそ3割。日本のエネルギーを担う生命線なのだ。
その国家元首が訪れるのだから、騒ぎにならないはずがない。

しかも今回のサルマン国王の訪日には王族や閣僚、関係者を含め、1500名もの富豪が同行した。都内の高級ホテルや高級ハイヤーが予約で埋まってしまうなど、ちょっとした“特需”が起きたのである。
マンガに出てくるような“大富豪キャラ”も顔負けのニュースが連日報じられ、日本中が「石油王おそるべし」と震撼したのであった。

さて、マンガの世界にも数々の石油王が登場する。
しかしフィクションの石油王たちは、外交や政治やビジネスとは無関係に、“お忍び”で来日することが多いのだ。

では、彼らは何を求めて日本に来るのか?
といったわけで今回は、マンガに見る「YOU(石油王)は何しに日本へ?」特集である。


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『東京スーパーシーク様!!』 第1巻
さぎり和紗 宙出版 ¥619+税
(2014年8月1日発売)

じつはハーレクインやBLといった女性向けジャンルでは、昔から「石油王」という属性が存在する。
「眼鏡」とか「リーマン」とか「アウトロー」などと並び、「石油王」も人気ジャンルのひとつなのである。

“白馬に乗った王子様”ならぬ、“ラクダに乗ったシーク様”というわけだッ!

砂漠の国からやって来たシーク様がドタバタを繰り広げるラブコメといえば『東京スーパーシーク様!!』(さぎり和紗)である。

主人公の須軽まあやは高校2年生のJK。
父親の借金のせいで貧乏暮らしをするまあやは、夢も恋も信じない現実主義者。そんな彼女の目の前に、突如として金をばらまきながら現れたのが、バルクーク王国の皇太子ファキールであった。

なんと父親が借金のカタに、まあやをファキールに売ってしまったのだ。
ファキールはまあやを「蜜蜂(ハニービー)」と呼び、婚約者として追いまわす。ファキールの圧倒的な財力と破天荒な行動が、さまざまな騒動を巻き起こしていく。

「いいなづけが突然現れてドタバタ」というオーソドックスなラブコメのスタイルを、オイルとマネーで彩ったのが本作である。『東京スーパーシーク様!!』の石油王は、求婚するために来日したのであった。


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『キャプテン翼 GOLDEN-23』 第1巻
高橋陽一 集英社 ¥463+税
(2006年2月17日発売)

『キャプテン翼』シリーズ(高橋陽一)でサウジアラビアのユース代表(『キャプテン翼 ワールドユース編』)と五輪代表(『キャプテン翼 GOLDEN-23』)でキャプテンを務めたマーク・オワイランは、なんとサウジアラビアの王子である。

オワイランは王族として何不自由ない生活をしていたが、あるときラクダの騎乗訓練中、お付きの人を振りきって気まぐれにラクダを走らせたときにサッカーと出会った。
身分や貧富の差など関係なくサッカーに興味を示し、のめりこんでいった。お付きの人が懲罰を受けなかったのか心配である。
試合中も頭にターバンを巻いているのがトレードマークだ(『GOLDEN-23』ではターバンをまかなくなった)。

『GOLDEN-23』は五輪のアジア最終予選が舞台。グループを首位で抜けないと五輪本戦への出場権を獲得できないのだが、日本は首位オーストラリアに大きく水を空けられてしまっていた。
しかし、すでにグループリーグ敗退が決まっていたサウジアラビア代表が、オーストラリア戦の試合終了間際にオワイランのゴール同点に追いつき、おかげで「日本がオーストラリアとの直接対決に勝てば五輪出場」というシチュエーションを作ってくれたのである。

「砂漠の王子」オワイランは五輪予選のために来日し、日本戦で敗北し、日本の五輪出場を後押ししてくれたわけだ。
王子、シュクラン(ありがとう)!


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『講談社漫画文庫 タイガーマスク二世』 第1巻
梶原一騎(作) 宮田淳一(画) 講談社 ¥700+税
(2001年12月12日発売)

そしてマンガ界最強の石油王は、『タイガーマスク二世』(原作:梶原一騎、作画:宮田淳一)に出てくるアーマー・ハッサンをおいて異論はあるまいッ!

本作は大ヒット作『タイガーマスク』の続編である。
前作のラストではタイガーマスクの正体・伊達直人が交通事故で死亡したが、この『二世』では、こまどり学園の孤児だった亜久竜夫が初代タイガーの遺志を継ぎ、タイガーマスク二世として活躍する。

石油王アーマー・ハッサンは、日本のプロレス界を乗っ取るために、宇宙プロレス連盟を率い、豪華客船オイル・キング号でやって来たのだッ!!
なお、実在のレスラーが実名で登場するのも本作の特徴。タイガーマスク二世とともに日本マット界を守るために戦うのはアントニオ猪木だ。
このアーマー・ハッサン、タイガー・猪木組が負けたら日本への石油輸出をストップすると豪語する。第2次オイルショックから脱却した直後の日本にとっては、かなりショッキングな敵役だったはずだ。

なお、アーマー・ハッサンは西欧列強の築いた世界秩序を憎んでおり、現実世界の現在の世界情勢をかんがみると、いろいろ考えさせられるキャラクターとなっている。
彼は「力こそ正義」が信念で、彼自身も覆面レスラー「ツターン・カーメン」としてタイガー二世と対決するのだ! まさに彼こそが世界最強の石油王である。

YOUは日本に来ないでくれッ!!


このようにマンガ世界の石油王たちは、様々な理由で日本に来ている。
しかし、彼らが遊びで来ていると思ってはいけません。
石油王だけに、油を売っているだけでございます。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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