最近になって目につく、少女マンガや女性向け作品、さらにはBLでの、主人公の相手役。それは丘の上のお城から白馬に乗ってやってきた王子様……ではなく、遠い砂漠の国から自家用ジェットでやって来た、褐色のオレ様キャラな王子様、つまりは「シーク(シャイフ)」の皆さん!
厳密にいうと、シーク=王族というわけではないらしく、もともとは部族の長(長老)という意味で、そこから権力者や貴族などのことも指すようになったそう。多くのマンガ作品では、「アラブ文化を持つ億万長者の王族(もしくは超セレブ)」といったキャラクターが「シーク」と呼ばれているようです。
今回は、編集者・フリーライターの小山まゆ子さんに、そんな「魅力的(?)なシークが登場するマンガ」を3作品、教えてもらいました! これを読んで、狙え石油王の玉の輿!?
小山まゆ子さんイチオシの3作品!
『王子と小鳥』山中ヒコ
『王子と小鳥』
山中ヒコ 芳文社 ¥619+税
(2009年8月29日発売)
『王子と小鳥』はBL。流れ流れてオークションで買われた日本人男子・鈴木圭一と、とある砂漠の国の第2王子ハーリドの恋の物語。
最初は恐怖しかなかった奴隷の圭一だったが、次第にハーリドと心を通わせていき、最終的に恋するんだけど、諦めずに帰国(逃げ出)して、ちゃんと自分を立て直してでも王子のことが好きで、と思ってたらやっぱり王子もそうで迎えに来る、というお話。
「恋の相手として身分違いハンパね~!!」ってのが淡々と描かれていて、ガッツリBLでもないし、絵柄もかわいい系なので、BLが苦手な人でも読めるのではないでしょうか。
『東京スーパーシーク様!!』さぎり和紗
『東京スーパーシーク様!!』第1巻
さぎり和紗 宙出版 ¥619+税
(2014年8月1日発売)
『東京スーパーシーク様!!』はその名のとおり! って感じで、東京の庶民の女子高生・須軽まあやのもとに、ある日、アラブ石油王のシーク、シャキールがやって来て求婚しまくる! というドタバタ「平成のおぼっちゃまくんラブコメ」(帯より)。
愛ラクダのジャミール(もしくはヘリとかリムジンとか)に乗り、まあやに迫るはまわりに金はばらまくわの、清々しいほどの金持ち&傍若無人っぷり。でもなんせ何かと金を稼ぐ才覚がありしかも超イケメンなので許されてしまう。というか、ここでイケメンじゃなきゃ恋する相手として意味がない(笑)。
しかし、実際、アラブ諸国の人のオリエンタルな美形っぷりはハンパないので、そこでの説得力は大きいですな。
『黒曜のシークは愛を囁く』神月凛
『黒曜のシークは愛を囁く』第1巻
神月凛 宙出版 ¥619+税
(2014年1月4日発売)
『黒曜のシークは愛を囁く』は、ほんわかファンタジーTL。
最新刊ではついに黒髪銀瞳のオレ様シーク・アファルサードと結ばれた異国からの嫁、金髪ヒロイン・ルチアが誘拐されてピンチになっとりました。出た! 誘拐!!
この誘拐パターンは、遠く細川智栄子あんど芙~みんによる『王家の紋章』のキャロルから(キャロルの場合、誘拐されてファラオの側にいないだけでなく、タイムスリップして現代に戻っているときもアリ)、宮城理子『花になれっ!』でもたしか花人であるももの魅力に取り憑かれたシークが彼女を誘拐していた気がする(うろ覚え。シークじゃなかったらすみません!)。
シークじゃないけど、新條まゆ『覇王・愛人』の主人公・来実は、ひょんなことから助けた香港マフィアのドン・黒龍に惚れられたため、さらわれた挙げ句に監禁されてたし、とかく、オレ様キャラは「お前が欲しい」となったら誘拐するのもいとわない、これこそが王者の証! ってなくらいに強引。
イケメンかつジェントルじゃないとダメな西洋の王子様じゃ、できない所行よね、誘拐って……。
女性向け(少女マンガでもBLでもTLでも)の「オレ様キャラ」は、基本横柄でワガママ、しかし、それを許されるだけの権力があり金も才能もあるという設定で、比喩として「~の王様」などと称されることが多い。
最初に相手がシークって設定を見かけたのは、たしか貴腐人(やや年齢層高め)系のBLだった気がする。財閥や超金持ちセレブのオレ様設定に、衣装のビジュアルインパクトと、一夫多妻制、それに褐色の肌に毅然としたまなざしの妙に迫力のある美形。どんなワガママもOKそうなキャラは、たしかにシーク、説得力No.1。だって、オイルマネーだよ?
金持ってて当たり前で、かつ本当に王様って、手札そろいすぎでしょ(笑)。