夏から秋へと季節は移り変わっていっても、マンガはまだまだ変わらずアツい! 8月に発売された1000冊以上のコミックスから、選者が自信を持ってオススメする作品のベスト10を発表。
もちろん、「このマンガがすごい!WEB」で、すでに紹介した作品も多数ランクイン。それぞれの記事にリンクがあるので、「日刊マンガガイド」などのレビュー記事も参考にぜひ、作品を手にとってみて!
(8/1~8/31発売作品を集計)
第1位(134ポイント)
『健康で文化的な最低限度の生活』 柏木ハルコ
『健康で文化的な最低限度の生活』
柏木ハルコ 小学館
新人公務員の義経えみるは、赴任早々いきなり110人の生活保護の受給者を担当することに。様々な“事情”を抱えた受給者たちに、えみるはひたむきに奔走する。
福祉政策という、どちらかと言えばエンターテインメントから方向性が異なるテーマを丹念な取材にもとづいて描いた作者の実力は衝撃をもって迎えられました。
オススメボイス!
■生活保護がテーマというだけで今のご時世、幅広い関心を集めそうではあるが、これまで理性と感情の間で揺れ動く人間心理を生々しく描いてきた著者だけに、制度の問題点を描くのみに終始せず、そこに直面する人々の抱える矛盾や葛藤をリアルに描いてくれそうで期待(井口啓子/フリーライター)
■シリアスな社会派要素と作者ならではのエンターテインメント要素がマンガのなかで緊張感たっぷりにせめぎ合っているあたりが圧巻(大西祥平/マンガ評論家)
■(たぶんマンガにするのに)難しいテーマだと思うのだけれど、正面から取り組んで、しっかり現場を描きながら、主人公の成長譚としてもおもしろく読ませる。すごい力量だー!(かとうちあき/野宿野郎編集長(仮))
■生活保護という禁忌に挑戦。柏木の代表作になる予感(奈良崎コロスケ/雑食系ライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!
第2位(124ポイント)
『ファンタジウム』 杉本亜未
『ファンタジウム』
杉本亜未 講談社
「見る者を変える力を持つ」と言われるほどの才能を持ち、プロマジシャンへの道を歩む天才少年マジシャン・長見良。彼は「難読症」という障害を抱えながらも、相棒の北條と共に自分の夢に向かってつき進む。
3年ぶりの新刊で、周囲の誤解や偏見もあるけど、いつもポジティブな主人公の生き様との再会を待ちわびた人も多かったようです。
オススメボイス!
■ようやく、ようやく出ました続刊!!! 清濁併せ持った社会に触れて、良くんの世界はどんどん広がるし、彼のマジックを見てくれる人も桁違いに増えてきて、この先どうなっていくのか楽しみでなりません(アキミ/ブログ「ボーイズラブを読む!」管理人)
■待ちに待った3年ぶりの新刊。本作が描くのは「暴力」だ。これまでは一方的に暴力を受ける側だった難読症という障がいを抱える主人公・良は、マジックで一躍有名人となったことで、今度は自らが意図せず暴力的な存在になってしまったことを思い知る。早くも次巻が楽しみな展開(小田真琴/女子マンガ研究家)
■3年ぶりの新刊。待ってました!(かとうちあき/野宿野郎編集長(仮))
■3年ぶりの新刊で待望の1冊だった。コインマジックの口上と描写はこれぞドラマ。別世界にいる時間を味わえた。すばらしい(紙屋高雪/ブログ「紙屋研究所」管理人)
■複数回の発売日変更を経て、ついに3年ぶりの新刊! 待ってましたあ!! 一見ゆるぎない「正論」に屈することなく問い返しながら成長していく良くんにまた会えてうれしいです。早くも続きが読みたい!(川原和子/マンガエッセイスト)
■待ちに待った8巻。良くんの仕事の問題を引きずりつつ、進学問題が本格化。誰にとっても幸せな道があるといいなーと心から思います(白峰彩子/書誌屋)
■魔法には2種類ある。人を幸福にする魔法を不幸せにする魔法である。その魔法の正体(あるいは魔法を2種類に変化させてしまうものの正体)を手探り、もしかしたらこれではないか、という核心にまで近づいている。手品のタネはバレてしまうと白けるのに、魔法の正体は近づけば近づくほどに感動する。手品も魔法も英語に直したら、たしかにMagic(マジック)なのであって、本当にMagicのようなマンガだと思う。そのMagicをめぐる物語もいよいよ終盤に入った。またしばらく間隔が空くのかもしれないが、次巻が待ち遠しい(森田真功/ライター、ブログ「Lエルトセヴン7 第2ステージ」管理人)
第3位(116ポイント)
『ドカコック』 渡辺保裕
『ドカコック』
渡辺保裕 一迅社
「ドカコック」こと京橋建策は、ドカたちを心身ともに満足させるうまい料理を“竣工”し、現場を必ず成功に導くという伝説の流れドカ。今日は東に明日は西に、ドカコックの旅は続く。
ドカでコックという斬新すぎる設定が注目を受け、待望の単行本化となりました。
オススメボイス!
■一編集者の熱意によってまさかの新装版竣工! 勢いのみで押しきる「シリアスなギャグ」マンガではありますが、そんなあからさまな勢いに押しきられてみるのもまた楽しいものです(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)
■コンビニコミックで発売され、カルト的人気を博していた幻の料理マンガがついに一般書店に並んだことが胸熱です。あらたに追加された2つのエピソードは、あいかわらず力技な展開で、再びドカワールドに引き込まれました(梅本ゆうこ/ブログ「マンガ食堂」管理人)
■待望のコミック化! しかも、一迅社からというサプライズ付きです。主人公の「京橋建策」は、流れのドカでありながらコックでもある、伝説のドカコック。建築現場でもめ事があったり、トラブルでうまくいかないことがあると、ドカ魂(ソウル)を蘇らせるその料理でドカを奮い立たせ、建築を成功に導く……。古き良き劇画時代の「何かあったら料理で解決!」という「料理マンガ」を踏襲した作品。その勢いと熱量はすべてを巻き込み、ドカモーショナルを産み出します。必見(杉村啓/料理マンガ研究家)
■流れ歩いた漢〈ドカ〉の記録、読んでもらおうドカコック!(soorce/オヤジマンガ系ブロガー)
■グルメマンガ界騒然の異端作が追加エピソードを収録してリニューアル刊行! 工事現場の人間関係トラブルを、土木工事になぞらえた料理法で人々を魅了することで解決する伝説のドカタ、ドカコックを描くドカタ飯マンガ。何が何だからよくわからないがすごいことだけはわかるテンションにハマること必至だ! ドカプロミス!(魂の約束)(宮本直毅/ライター)
■ついにコミックスとして竣工! これは食マンガなのか!?と我が目を疑うけど、目が離せない! そしてクセになる! ドカですから(麻野昌三/わんだ~らんど なんば店店長)