話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『花鈴のマウンド』
『花鈴のマウンド』 第1巻
紫々丸(原作) 星桜高校漫画研究会(漫画) 大垣書店 ¥400+税
(2017年12月28日発売)
昨今は「カープ女子」など熱狂的な野球ファンが話題にのぼることも多いけれど、見るだけじゃない、プレイヤーもこれからは女子に注目すべし!?
女子硬式野球部の青春を描く本作は、WEBコミックで連載中。新鮮なテーマで注目を集めるなか、新装版が刊行された。
桐谷花鈴は星桜高校3年生で、女子野球部のピッチャー。同級生たちが大学受験を意識する時期になっても、いまだ部活に熱血中である。
彼女が野球に熱い想いを抱くようになったきっかけは甲子園大会。小さい頃、幼なじみの男子・大門頼とともに甲子園のマウンドに立つピッチャーに魅せられ……
「ふたりで甲子園に行こう!」と約束した時から、その気持ちは変わっていない。そう、かの名作『タッチ』(あだち充)ならば、南ちゃんを「甲子園につれていく」のが主人公の使命だが、本作ではヒロイン自ら甲子園を目指そうとするのである! 2018年現在、女子野球の甲子園大会というのは存在しないが、女子プロ野球は発足しており、時代は確実に変化しているのは事実。
春の大会で、他校の強打者・柊木美玲に打ち負かされた花鈴は、雪辱を果たそうと一念発起。同じ高校の野球部である頼に指導を受け、投球フォームや球の握り方などを逐一テコ入れ中だ。
ともに甲子園のマウンドを夢見て、今では同じ高校の野球部同士の2人だが、その関係性は今のところ単なる野球仲間。とはいえ、そこは女子野球部を舞台とした物語だけあって、今後の展開がおおいに気になるところだ。なにしろ、2人が仲よく練習するさまをモヤモヤした気持ちで眺める姿があり、それは花鈴にとって大事なチームメイト、女子野球部キャプテンの小春で……これはチーム事情にもおおいに影響しそうである。