子育てって大変そうだからやりたくない、という意見もよく飛び交う。その気持ちもうなずける。いやしかし、大変だからこそかわいい、というのもまた、真実なのだ。
相手を「寝かせる」ことだけに全精力を注ぐ夜(しかし、うっかりしたオナラひとつでリセットされる!)、歯磨きを全力で抵抗する息子さんをどうにかおさえつけて終わらせる、などなど、ネットで調べれば指先ひとつで大抵のことが解決できる時代とは思えない、野生に還る瞬間が毎日のようにあるのだ。
材木から積み木を大量につくったり、庭で野菜を収穫したりの素敵なスローライフに囲まれつつ、街に暮らす人々にも「あるある!」といいたくなる戦いが繰り広げられる。
そのなかで、子どもは育っていき、言葉が出ない頃の不思議な行動や、一語程度出てきたころの必死なコミュニケーションにもキュンとしてしまう。片言でしゃべりだした時期には大人の予想がつかない言動が出てきて笑い、それもまた、成長とともにあっという間になくなってしまう。
そんな日々のなかで、ふと感じる喜びと切なさは、何ものにもかえがたい。
なんといっても子どもが母親への無条件の愛を示してくれる瞬間が、たまらないのだ。
また、夫さんの観察記録もあり、生まれた当初は抱っこもおぼつかない状況から、だんだんに「パパ」になっていく過程がコミカルに描かれていく。最初から「イクメン」でなくてもいい、じょじょに「パパ」になっていくもの。それは「ママ」自身も同じことなのだな、とほっとさせてくれる。
永遠にこの大変な子育てが続くわけでもない、でも、ちょっと終わって欲しくない、そんな相反する気持ちを抱えるママ、もちろんパパにも、笑ってなごめるハートフルなエッセイだ。
『このマンガがすごい! comics 育児は続くよどこまでも…』は子育て情報サイト「Conobie」でも紹介されています!
コチラよりご覧ください!
<文・和智永妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集。とある学生街に在住し、いろいろと画策(だけ)しつつ、男児育てに追われる日々です。