日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『このマンガがすごい! comics 育児は続くよどこまでも…』
『このマンガがすごい! comics 育児は続くよどこまでも…』
はちや 宝島社 ¥925+税
(2018年1月18日発売)
インスタグラムのフォロワー数30,000人超えという人気を誇る、はちや(@hatiyamaru)さんのおもしろ育児絵日記が書籍化された。
「試される大地」北海道の山の麓でヒゲとメガネがトレードマークのパパと2015年5月生まれの息子クンと愛猫ちゃんと暮らしている、はちやさん。
現在2歳となった息子クンはイヤイヤ期まっ盛り、やんちゃざかりだけにたいへんそうではあるが、育児日記的にはエピソードの宝庫ともいえる時期なわけで。子どものいる人なら「そうそうそう~」とうなずかずにいられないあるあるネタ満載!
小さな子どものいる生活は、予測不可能な笑いや驚きに満ちていて、どこまでも現実的である一方で、不条理ギャグも真っ青のシュールなシーンも少なくない。
なかでも「歯みがきの拒否っぷりが鮮魚」「カウチソファーとしての、私。」「どんなに晴れていても、もう長ぐつしか履きたくない。」「携帯ごっこが繁忙期のサラリーマンぽい。」といったタイトルが冠せられた一枚絵シリーズは、まさに言いえて妙。
うまい! と座布団3枚、差しあげたくなります。
突然爆発したはちやさんに「気付かなかったんだ…不満があったらすぐ言ってくれ。ためこむなよ」といっておきながら、はちやさんが「疲れた」といったら堂々「オレも疲れてる」といい返す旦那さんがまたサイコー。
こんなふうに夫婦とも、ムリせずマイペースで向きあえれば、育児ノイローゼなんてなくなるのでは……と考えさせられる。
子どもができたら広い家を買って、家具やオモチャを揃えて……という家庭が大半だろうが、この一家の場合は、取り壊し寸前のボロ民家をいちから自分たちで改装し、子ども部屋や趣味の部屋を少しずつ完成させ、畑を耕して野菜を育てるなど、常識にとらわれない暮らしぶりがいかにも楽しそう。
育児って、たんにミルクをあげたり、オムツを替えたり…だけでない、生きてゆく環境を育む営みなんだなーとハッとさせられる。
ほかにも、タンスのなかにオモチャを発見して、入れて遊んでたのかな……と想像してキュンとなったり。
めまぐるしい日々に追われて忘れてしまいたくはない、些細だが尊い宝物のようなシーンがいっぱい。
感情的に怒ってしまったり、終わりが見えなくてうんざりしたり。育児に不安を抱いた時も読めばホッコリ、元気をもらえる1冊。
育児なんて関係ないという人も、だからこそ未知の世界が見えてくるかも?
『このマンガがすごい! comics 育児は続くよどこまでも…』は子育て情報サイト「Conobie」でも紹介されています!
コチラよりご覧ください!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。『音楽マンガガイドブック』(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69