話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『ミステリと言う勿れ』
『ミステリと言う勿れ』著者の田村由美先生から、コメントをいただきました!
『ミステリと言う勿れ』 第1巻
田村由美 小学館 ¥429+税
(2018年1月10日発売)
『BASARA』などで知られる田村由美の最新作は、彼女なし・友だちなしの大学生が主人公のミステリーだ。
主人公の名前は久能整(くのう・ととのう)。定期的に美容院に通い、天然パーマが膨らみすぎないように整えている。大学生であること、ひとり暮らしをしていること、友人や恋人がいなくても快適に過ごしているという以外に、彼のバックボーンはほとんど明らかにされていない。
機嫌よくカレーを作っていたある日、整は殺人の疑いをかけられ、複数人の刑事から取り調べを受けることに。
整は少しもうろたえず(少なくとも、そのようにみえる)、刑事たちが胸に抱えている「痛いところ」を次々いい当て、挑発めいた言葉を吐く。しかし整のひょうひょうとした物腰に、若手刑事たちは少しずつ興味をそそられ、影響を受け始める。整の語る飾り気のない言葉は、ときに残酷に「そこにある事実」をいい当てる一方で、聞き手にとって大きないやしとなることがある。だれもいってくれなかったこと、でもだれかにいってほしかったこと。そういうところを、ずばりといいきってしまうのだ。
整の「なんかこいつスゴイぞ」感に刑事たちが気づき始めた頃、事件は思わぬ展開をみせはじめ……。