本の街・神保町に店を構えるコミック高岡。その名のとおり、マンガを専門にあつかう書店だ。本に対してアンテナの高い人々が集まるこの街では、いったいどんなマンガが人気なのか。店長の市川祐治氏にここ最近、特徴的な動きが見られる3冊を伺ってみた。
コミック高岡 オススメの3冊!!
『穴殺人』第1巻 裸村
講談社 ¥463
2014年5月9日発売
美女が計画的に人を殺しまくるという内容の本作。この作品の主人公の「人を誘導して殺していく」というやり口がとてもリアリティがあって驚かされます。こういったやり口は、ホラー小説などでは、たまに使われる表現なのかもしれませんが、マンガではあまり見たことがないかもしれません。描写がとても緻密なこともあって、身近にありそうな出来事に思えて恐怖を感じます。
そんなおどろおどろしい内容に対して、表紙は穴コラというちょっとエッチな路線。この表紙と誌面のギャップもあいまって、表紙買いした人はサイコぶりにびっくりすること間違いなしでしょう。『穴殺人』はアプリで連載開始した頃からネットで話題になっていました。神保町は出版関係の職業の方が多いこともあり、その話題作が単行本になったということで、発売するなりジワジワ売れていっています。一般の方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
『紅の戦艦』関 達也
日本文芸社 ¥637
2014年4月28日発売
戦艦「大和」の話だということを忘れそうになるほどプロレスネタが詰まった傑作です。表紙だけ見ると、『艦これ』ブームにのっかった(?)と一瞬思わせられる本作ですが、その内容は戦記というかなんというか……ふざけているのかまじめにやっているのかわからないおもしろさがあります。たとえば安部首相そっくりのキャラが魚釣島で日本国旗を振るシーン。首相を狙った戦艦の砲撃が水しぶきを巻き起こしたかと思ったら、なんと……空に虹が!! え!? どういうこと!? とド肝を抜かれるばかり。とにかく、この作品は登場人物がすごいの一言に尽きます。
武藤、蝶野、橋本という登場人物の顔はそれぞれ武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也そっくり! 蝶野が橋本に「時はまだ来てねぇだろ」というシーンなど、プロレスファンなら思わずニヤリとするシーンがたっぷりです。もちろん、日本の憂いなどもしっかり表現されていてすばらしいのですが、それ以上にコマの要所要所にでてくる武藤の指のカタチが気になって仕方ありません! そういったことが話題になったのか、当店でも売れ続けており、早くも重版しているヒット商品です。
『黒 -kuro-』第1巻 ソウマトウ
集英社 ¥680
2014年5月19日
じつはこの作品、当店では発売1週間もたたずに売切れてしまいました。ざっくりとしたストーリーを説明しますと、主人公のペットの猫(?)である黒が、ほかの怪物と戦って屋敷を守るというお話。一見、このストーリーからは想像しにくいですが、このマンガの魅力はホラー性にあります。身近なものが気づけばまわりを侵食しているという、正体不明の怖さ。そんな恐怖が、この作品には潜んでいるのです。猫の姿をした怪物・黒が敵なのか味方なのか安心できないのはもちろん、主人公の気づいていないところにも怪物がたくさんいる(?)など、とにかくわからないことだらけ。展開が予想できません。
そして、このようなホラーな内容にもかかわらず、絵がかわいらしいためスラスラ読めてしまうという二重の魅力がこの作品にはあります。かわいらしいタッチが持ち味の作者は、この作品以前に『ギリギリアウト』という、おもらしヒロインマンガも発表しており、こちらも当店で大人気です。今作ではその持ち味だった画力だけでなく、抜群の構成力で読者を魅了してくれています。
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