そしてキャラクターについては、萌えるほうの魅力も語らないわけにはいかないだろう。
鈴木央の描く女性キャラはすでに定評があると言って差し支えないと思うが、まずエリザベスは「反則!」と言いたくなるほどかわいい(※それ以外の言葉が見つからなくて申し訳ない)。
基本的には守られる立場のヒロインでありながら、ここぞという場面では身を挺して芯の強さを見せるという、男女どちらからも好かれるタイプの定番キャラを見事に構築。メリオダスの日常的セクハラがなんとなく許せてしまうのも、彼女の魅力によるところが大きいだろう。
さらに巨人族である「嫉妬」のディアンヌは、その巨体とだれよりも女の子らしい内面のギャップが激萌え。メリオダスとは極端な体格差ゆえに決して結ばれることはないと心のどこかで諦めつつ、想いを隠そうとしない一途さ、そしてどう見たってメリオダスといい感じのエリザベスに、通り名そのままに嫉妬を感じながら見守っているところもある切なさ……と、これまたどこをとってもブラボー!
特に単行本第5巻で、とあるキノコの胞子の影響で人間サイズに縮小してしまうエピソードは必見!!
ほかにも鈴木央がおそらくもっとも得意とする、弟想いの姉キャラ(世間的には“おねショタ”と呼ばれるアレ)や、いわゆる“幼女要員”であるキングの妹・エレインを「そこに持ってきたか!」と悶絶したくなるほどのポジションに配置。まさに完璧の布陣である。
……と、キャラクターだけで延々と語ってしまえるのだが、「七つの大罪」の仲間と本来持っているはずの「神器」探し、「魔神の復活」を阻止するという明確な目的など、わかりやすい展開の基本構造もまた魅力のひとつ。
そこにいまだ未解明なところも多い主人公・メリオダスの出自をはじめとした数々の謎や、やがて激突せざるをえないであろうバンとメリオダスの関係性など、気になる要素も皿からあふれるぐらい盛られている。
現在のところ最新刊の11巻では、魔神復活のエピソードが最終回目前のようなテンションでクライマックスを迎えているが、そもそも「七つの大罪」のメンバーも神器もそろっていないのだから、こんなところで話が終わるワケはない。むしろ終わってほしくない!
今後の展開も、大いに興味をもって期待していきたいところだ。
なお、2014年10月に刊行された短篇集『七つの短編』には、読み切り版の『七つの大罪』も収録されている。そこからいかに舞台設定やキャラクターが練りこまれて現在の形になったのか、読み比べてみるのも面白い。
読切版もそれはそれで十分に楽しめる作品だが、やはり傑作というのは“さらに一歩の踏みこみ”があるのだと実感することができるだろう。
『七つの大罪』著者の鈴木央先生から、コメントをいただきました!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。