バーに訪れる人々との会話から”成功者の極意”を学ぶ
1990年代に一世を風靡(ふうび)した自己啓発書『7つの習慣』。アメリカの著名コンサルタント、スティーブン・R・コヴィーの著書で、世界で3000万部超売れたという記録を持つ、ベストセラー書である。日本でも150万部以上売れているというから、なんとなく名前を聞いたことがある人も多いかもしれない。 けれどこの本、500ページ近くもある「大著」。ページの厚さに圧倒されて、途中で挫折した人も多いのではないだろうか? そんな人におススメしたいのが『まんがでわかる7つの習慣』。バーテンダーを目指して修業を始めた主人公・歩が、バー「セブン」での様々な出会いを通して、生き方、考え方が少しずつ変わっていく。それを支えたのは「7つの習慣」だった――というストーリー。現在はシリーズになっており、3巻まで発行されている。発売してから1年以上が経つが、今でも軒並みビジネス書ランキングのトップを走り累計で100万部以上売れているというから驚きだ(2014年12月現在)。 ビジネス書は通常「女性は読まないジャンル」といわれている。しかし本書は女性が読んでいる比率が非常に高い。「文化通信」2014年11月3日号によると20代、30代、40代、50代の女性のランキングでいずれも1位。男性部門でも20代、30代で1位を取っており、「若い世代」「女性」の圧倒的な支持を得ている。 それはなぜだろうか。おそらくカギのひとつは主人公の年齢。23歳という、社会人としてはまだ駆け出しの頃というのは、対人関係その他でいろいろ感じ、悩む多感な時期である。そこで直面するトラブルや摩擦や軋轢、そういった「リアル」がマンガのエピソードにうまく織り込まれており、読者の共感を得ているのではないだろうか。マンガ=フィクションのはずなのに、ひとつひとつの話が、働く女性が納得できる内容に昇華している。このへんが人気のポイントなのではないだろうか。 多くの若い世代や女性が抱える「悩み」や「人間関係」が主人公の目を通して――7つの習慣の解説を交えつつ――ひとつの答えを出してくれるところも支持される要因のひとつかもしれない。 最後に、筆者はバー通いが大好きなのだが、『まんがでわかる7つの習慣②』以降は、各章にカクテルレシピのコラムがついている。これが非常におもしろい。ベタなカクテルから、はじめて見た!と驚くカクテルまで様々なものが登場する。マンガに登場する客は様々なタイプがあるが、彼らが注文するカクテルは「いかにもこういうお酒を飲みそう」という「あるある」系。バーのマスターにこの本を持っていったところ「リアルですね~」の一言。 う~ん、こういう部分でも侮れない1冊である。
ビジネス書として異例!? 「女性」の圧倒的な支持
それぞれの人物を反映したカクテルにも注目