テロリストの行動は予測不能だ。バラバラに逃げていた仲間たちを、あえて逃げ場のない場所に集めて籠城させる。腹部に大穴が空いた鬼灯を、なぜ大病院ではなくて貧弱な設備と校医しかいない学校に運び込んだのか……何度も死地を潜り抜けてきたはずの彼らが、セオリーを無視する不気味さがたまらない。
「抵抗するものは射殺、逃げる者ひとりにつき5人射殺」という、極限状況は人間の意外な一面を引きずり出す。
嫌われ者の野口がクラスメートの多数に「罰を受けるべき生徒」に指名されてもなお、これ以上は犠牲者を出さないよう機転を利かせたように。
かと思えば不良の近田が見かけ通り卑劣に振る舞ったりと、各キャラがどう動くかルックスからは読めない予想のつかなさも魅力だ。
人形を肌身離さず持っている鬼灯は死の縁から蘇り、草太は仮りそめの生を与えられた親友に噛まれ、満たされない飢えに負けそうになったところを……というクライマックスで1巻は幕引き。
オビにうたわれた「テロリストvs.高校生vs.自衛隊 」のうち自衛隊は影も形も出てないので、続きが気になってしょうがない。その渇きを癒やしてくれるのは『学園×封鎖』の2巻だけ!というマンガグールになりそうだ。
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。