『涼宮ハルヒの憂鬱』や『とある魔術の禁書目録』、『キノの旅』、『灼眼のシャナ』、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などなど、多数のメディアミックス化をはたした大ヒット作を生み出しているライトノベル。
ファンタジーやSF、学園ラブコメといったジャンルとの親和性の高さ、そして挿絵イラストの重要性などから、コミカライズに適したものが非常に多く、現在『このマンガがすごい!WEB』内でも、『着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活』と『【急募】賢者一名(勤務時間は応相談) 勇者を送り迎えするだけのカンタンなお仕事です』というライトノベル2作品のコミカライズが連載されている。
今回は、マンガだけでなくライトノベルの感想記事も多く投稿されている、ブログ「フラン☆Skin」の管理人であるフランさんに、人気のライトノベルが原作で、マンガ単体でも十分に楽しめる、注目の3作品をピックアップしてもらいました。
[※2013年から2014年12月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています]
フランさんイチオシの3作品!
『ソードアート・オンライン プログレッシブ』 川原礫(作)比村奇石(画)abec(キャラクター原案)
『ソードアート・オンライン プログレッシブ』第3巻
川原礫(作) 比村奇石(画) abec(キャラクターデザイン)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス \570+税
(2014年12月9日発売)
一般的に「俺TUEEE」主人公の代表と思われている『ソードアート・オンライン』のキリトさんですが、彼にだって低レベルで苦労した時期もあるのです。
その時期を舞台にしたライトノベル『ソードアート・オンライン プログレッシブ』シリーズを、大胆にもアスナ視点でコミカライズしたのが、比村奇石さんによる『ソードアート・オンライン プログレッシブ』です。
アスナ視点なので、学業優秀な“よい子”だった結城明日奈というひとりの女の子が深堀りされ、魅力が増すだけでなく、原作ファンにとっても新鮮な気持ちで飽きることなく楽しむことができます。
もちろん、この後に本編である『ソードアート・オンライン』に繋がるように描かれているので、原作ファンにとってうれしい演出も随所にあります。
原作人気が非常に高いうえにアクション性が高く、ヒロインもかわいい。ファンからのハードルは高いながらも、比村奇石さんはその期待に十二分に応えていると思います。
『ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり』 柳内たくみ(作)竿尾悟(画)
『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』第5巻
柳内たくみ(作)竿尾悟(画) アルファポリス \700+税
(2014年9月22日発売)
中世ファンタジー風異世界の帝国軍vs自衛隊!
特地(剣と魔法の異世界)での自衛隊無双、エルフや獣人を含めた異世界現地住民との交流、日本や米中露各国との政治的なやり取り、個性的で魅力的なヒロインたち……。
と多様なおもしろさを内包する本作ですが、その原作が持つおもしろさを十全に引き出している竿尾悟さんがすごい。「ミリタリーと美少女が出る原作」だけに、「ミリタリーと美少女が描ける漫画家」の竿尾悟さんは、まさにベストマッチ。
原作に忠実にコミカライズするだけでなく、小説だと2ページで終わった二重橋攻防戦を迫力ある筆致でしっかりと描いたりと、上手に補完しているのは見事の一言。
原作はもともとWEB小説で、じつはいまだに書籍化されてないエピソードもあるんですが、そのネタまで拾って反映させる徹底された原作リスペクトには、熱心な原作ファンすらも唸らせます。
ちなみに竿尾悟さんの著作である『コンビニDMZ』のキャラも、ちょこっとだけ友情出演しているので、探してみるのも一興かと。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』 大森藤ノ(作)九二枝(画)ヤスダスズヒト(キャラクター原案)
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第3巻
大森藤ノ(作) 九二枝(画) ヤスダスズヒト(キャラクター原案)
スクウェア・エニックス \533+税
(2014年11月13日発売)
天上の神々が娯楽を求めて地上に降りてきた、ファンタジー世界の迷宮都市が舞台。主人公のベル・クラネルの成長物語!
窮地の美少女を颯爽と助けることを夢想していたベルくんが、逆に窮地を美少女に颯爽と助けられて恋に落ちることから物語が始まります。
駆け出しで、まだまだ情けないところもあるベルくんが、落ちこむこともあるけれど、それすらバネにしてまっすぐに成長していくところが、本作のおもしろさのひとつ。
また、昨今のライトノベルのお約束である、多くの美女や美少女を魅力的に描くことだけでなく、手に汗握るバトル展開もマンガならではの見せ方で魅力的に描いているのが、このコミカライズの特長です。
奇をてらわず、原作のおもしろさを素直に引き出しているコミカライズなので、原作を読んでない人におすすめしやすい作品です。