『がっこうぐらし!』(海法紀光(ニトロプラス)・作 千葉サドル・画)ロングレビュー! 騙されたああああああああああああああああ!!!! 精神削られるオカシイ日常系、このほのぼの学園生活がヤバイ…
がっこうぐらし!ニトロプラスまんがタイムきららフォワードロングレビュー千葉サドル海法紀光
2015/09/02
自身も“かれら”と同じになるかもしれない恐怖がすぐそこに迫りながらも、部活動の一環として、おもに由紀が提案する「肝試し」「遠足」という名の物資調達や、体育祭や学園祭などにいそしみ、あくまでも学園生活を満喫しようとする姿は、名作映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の父グイドと幼い息子ジョズエのようにも見える。
さらに、ひねた見方をすれば、日常系で描かれる「明るく楽しい学園生活」のアンチテーゼではないかとさえ感じさせる。
問題のない学校なんて存在しないことは、誰もが知っている。それでも、学園生活を楽しいとするならば、由紀のように正常ではない精神状態に陥るしかないのでは、と……。
親友の圭とともに、ショッピングモールで引きこもっていた直樹美紀。圭の問いかけに心を揺さぶられる。
しかし、屋上で野菜を育てたり、誰もいない購買部でお菓子を手に入れたり、廃墟と化したショッピングモールでファッションショーを楽しんだりする彼女たちのサバイバルライフには、少々うらやましさも感じる。
女の子らしいかよわさとたくましさ、非常事態だからできる大胆な行動、深い友情や家族への愛情などなど、決して殺伐、鬱々だけではない人間賛歌も大きな魅力なのだ。
決死の覚悟で外界に出た学園生活部。ラジオから聞こえる、他の生存者のものと思しき声は、まるで福音のよう。
アニメでもみごとな仕掛けをめぐらせて、話題沸騰のなかで刊行された第6巻では、学園生活部の面々が、なんと巡ヶ丘学院高校を「卒業」ののち、「進学」を目指している。
守られるだけではない、自立に向けての一歩を踏み出した彼女たちの「キャンパスライフ」がどんなものになるか、次巻への引きもたいへん気になるが、手に汗を握りながら待ちたい。
『がっこうぐらし!』著者の海法紀光(ニトロプラス)先生、千葉サドル先生から、コメントをいただきました!
原作:海法紀光(ニトロプラス)
海法紀光(ニトロプラス)
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空気が好きです。
隣の芝生というものかもしれませんが、小説という文字メインの仕事を多くしていたからかと、漫画における空気というものに憧れがあるのです。
漫画というのは、言葉にせずともコマの中からにじみ出る雰囲気、温度、気持ち、そういったものがあります。
小説にも行間というものがありますが、やはり漫画の空気が醸し出す独特の味は……なんというか、憧れるのです。
そんなわけで、日常の中で醸し出される空気を中心にした漫画を作ってみました。
千葉サドルさんと巡り会えたことは本当に幸いでした。こちらがぼんやりと思い描く空気を、精緻に描ききるだけでなく、いつも、決め手のひと味を加えていただいてます。
ゆきたちの間に流れる、柔らかったり、暖かだったり、時に冷たかったりする空気が、あなたの心に届けば、それより幸いなことはありません。
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作画:千葉サドル
千葉サドル
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取り上げていただきありがとうございます。
この作品では女の子のいろいろな表情を描かせてもらえるので、難しくもあり楽しいです。
これからもがんばります!
アニメも原作もよろしくおねがいします!
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<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。
(C)Nitroplus/海法紀光・千葉サドル・芳文社