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『ときメモ』のメインヒロイン・藤崎詩織がリアルで攻略されてた!!福山雅治の衝撃婚を演出したのは“伝説の樹”だった!?

2015/10/06


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「福山雅治、結婚」について。


tokimemo

みなさん、ご存じだろうが、あえて言おう。吹石一恵のデビュー作は実写映画『ときめきメモリアル』である。同作で彼女はメインヒロイン・藤崎詩織役を務めた。つまり藤崎詩織は、福山雅治に攻略されたのである。
そして藤崎詩織を攻略したということは、福山雅治が「伝説の樹の下」で告白されたのは明白な事実。

どこにあるんだ、伝説の樹っ!
もしかしたら俺たちのほうが、福山雅治より先に藤崎詩織攻略のフラグが立っていたのかもしれない。しかし、伝説の樹の場所を知らなければ、告白されないじゃないかっ!
というわけで今回は、マンガの世界に伝説の樹の場所を探しに行ってきます。

左手でフレミングの法則のポーズを作りながら、顔の前にかざして「じつにおもしろい」とか言いながらご一読いただければ幸いです。

好きとか嫌いとか最初に言い出したのは、どこのどいつだろうねッ!!

Doraemon_s21

『ドラえもん』第21巻
藤子・F・不二雄 小学館 ¥429+税
(1981年4月25日発売)


世界的に有名な樹といえば、「ジャックと豆の木」である。

藤子・F・不二雄『ドラえもん』には「ジャックと豆の木」をモチーフにしたひみつ道具がある。その名も「ジャック豆」だ。
この道具は「雪がなくてもスキーはできる」(てんとう虫コミックス21巻)などに登場。地面に植えて水をやれば、たちまち天を突くほどに成長し、さらに伸びていく方向を指示することもできるスグレモノである。
というか、未来人はなにを思って、こんなピンポイントなアイテムを作ったんだろう。いや、おもしろいけど。

ちなみに藤子・F・不二雄はこの童話がたいそう気に入っているのか、『世界名作童話』(『藤子・F・不二雄少年SF短編集2 絶滅の島』に収録)でも「ジャックと豆の木」をモチーフにした作品を描いている。
童話に感動したジャイアンが、ドラえもんに「ジャック豆」をもらいに行くが、「そんなものあるか」と指をさされて笑われてしまう。このメタな構造に、藤本先生の茶目っ気をかいま見ることができる。

いずれにせよ、「ジャックと豆の木」は「樹の下」よりも「樹の上」に用事があるものなので、たしかに世界的な伝説ではあるけど、俺たちの探している伝説の樹ではなさそうだ。むむ。

CaptainTSUBASAworldYouth_s07

『キャプテン翼 ワールドユース編』第7巻
高橋陽一 集英社 ¥390+税
(1996年1月発売)


大木といえば『キャプテン翼』に登場する全日本のエース・日向小次郎大先生を忘れてはならない。

大先生、なにか壁にぶち当たると山ごもりをするのが特徴。
沖縄で山ごもり、という地理的な困難さを乗り越えて開発されたのが、必殺の「雷獣シュート」である。わざと地面を蹴ることで、その反動を利用して…… まぁ、理屈はいいや。とりあえず猫みたいな雷獣が、背景にシャーッと出るシュートである。

かつて中学生時代には、埼玉県営大宮公園サッカー場(現在のNACK5スタジアム)の壁に穴をぶち開けた“前科”のある小次郎大先生、このシュートを編みだしたとき(『キャプテン翼 ワールドユース編』7巻)に、シュートの威力で大木をなぎ倒してしまったのだ!
地元の古老いわく「こんな大木が雷一発で折れるとは……雷獣のしわざじゃな」とのことである。沖縄で長寿の大木となると、それはひょっとして国が指定していて、切ったり倒したりしてはイケナイものなんじゃないか……、との疑念が湧いてくるが、この際ヤボなことは言いっこナシだ。

なにせこの雷獣シュートの開発を通じて、小次郎は赤嶺真紀というヒロインと急接近。コーラを飲んでキャッキャウフフなリア充シーンを見せつけ、全国のコジケン(日向小次郎×若島津健)一筋なお姉様方を発狂させたのだから、これは伝説の樹の可能性大である。
とはいえ、すでに小次郎先生によって真っ二つにされてしまったので、どうやらコレもお探しの樹ではないっぽい。むむむ。

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『妖怪少女 -モンスガ-』第1巻
ふなつかずき 集英社 ¥514+税
(2014年7月18日発売)


日本では長生きした動物や、長寿の樹木は妖怪になる例も少なくない。

老いた柿の木の実を取らずに放置しておくと、タンタンコロリンという妖怪に化けて出てくるという伝承が、宮城県にある。鳥取県境港市の水木しげるロードではブロンズ像化されており(「タンコロリン」の名称)、一つ目小僧の隣に配置されているのだから、なかなかポピュラーな妖怪といえるだろう。

なにせタンタンコロリは、狙った女に串を渡し、自分の尻の穴を「ほじくれ」と言う妖怪である。そして言われたとおりにほじくると、今度はその串を「舐めろ」と言う。もうこの時点で、かなり“アレ”な妖怪だ。
それでも思い切って串を舐めると、柿味で甘い……という……。われわれの祖先は、いったい何を考えてこんな妖怪を考案したのだろうか?

このタンタンコロリが登場するのが、ふなつかずき『妖怪少女 -モンスガ-』である。秋葉原で働くフリーターの主人公・西水流八喜(にしずる・やつき)は、霊的なものが見える特殊な能力を持つ。そのため妖怪退治に巻きこまれていくのだが、そんな彼の前に現れたのがタンタンコロリ。口ひげをタップリたくわえた、オールバックの渋い執事風のルックスで、全裸に拘束具だけを装着し、ヒロインに棒を渡して「私の尻の穴にねじこむのだ…!」と強要してくる。つまりタンタンコロリの“アレ”な感じを、現代風にアップデートしてパワーアップしているのだ。

これが「伝説の樹」だったら相当にイヤだが、安心してほしい。作中でのタンタンコロリは主人公に敗北後、コスプレ占い屋で執事として働くようになり、コスプレ占い師の「忠実な下僕(座り心地のいいイス)」に成り下がる。
よってこのドM妖怪の軍門に下る必要はなく、俺たちがスカトロ趣味に目覚める必要はない。ホッ。

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『田中雄一作品集 まちあわせ』
田中雄一 講談社 \1,200+税
(2014年6月23日発売)


アレもダメ、コレも違うとなると、もうわれわれに残された「伝説の樹」は、田中雄一「まちあわせ」(『田中雄一作品集 まちあわせ』収録/著者インタビューはコチラ!)しかない。

なにしろ作者の田中先生が「真っ正面から純愛を描こう」と決意した作品。
「ゆりかごの樹」という巨木が生えてきた世界で、その樹の下で待ち合わせをする一組のカップルの物語である。主人公の庄太郎はこの「ゆりかごの樹」の下で、ヒロイン・由香里を待ち続けることになる。どれだけ待ち続けることになるのかは、本編で確認してほしい。ある意味では、究極のラブストーリーである。
ただ、意中の彼女を待つよりも、まず「ゆりかごの樹」が生えてくるのを待つのが先決か。むむむむ。

アナタの「伝説の樹」は、どこにあるのか見当はつきましたか?
まあ、順当に考えれば、桜坂あたりにありそうなんですけどね。
というわけで、まずは彼女を見つけて、攻略して、それから「伝説の樹」の下に向かおうではないか。
と、遠いぜぇ……。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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