第4位(82ポイント)
『みちくさ日記』 道草晴子
『みちくさ日記』
道草晴子 リイド社
13歳で「ちばてつや賞」ヤング部門を受賞した新進気鋭の漫画家が14歳にして精神科病院に入院することになり、その後30歳を迎えるまでに経験した壮絶かつ特異な様々のできごとを自伝的に描く。
タイトルにもあるとおり、作者が歩んできた15年以上もの“みちくさ”は連載当初から大きな話題をさらいました。
マンガはもちろん現代美術や福祉医療といった様々な分野の人々も注目した、疲れた現代人に今だからこそ読んでほしい“すごい”ノンフィクションマンガです。
オススメボイス!
■あまりにも健気で愛おしい人生の敗者復活戦。一見乱雑なタッチは作者の格闘する軌跡そのものだ。今後の活躍を祈っています。(小田真琴/女子マンガ研究家)
■『アル中ワンダーランド』が好きな方に、とくにおすすめです(トロピカルあいこ/ライター)
第5位(50ポイント)
『伊藤潤二自選傑作集』 伊藤潤二
『伊藤潤二自選傑作集』
伊藤潤二 朝日新聞出版
空に出現した自分の頭部の首から垂れ下がったロープで絞首刑にされる恐怖を描く「首吊り気球」、死者の歌を録音したレコードの物語「中古レコード」をはじめ、現代ホラーマンガの旗手がみずから厳選した作品が収録された究極的ベストセレクション。
「自選」の名前は伊達じゃない!? 不条理やシュール、妖美とグロ、そしてときには滑稽さといった作者の魅力があますところなく盛りこまれています。作者自身による解説も必見。
オススメボイス!
■緻密な画風と奇妙な着想でホラーマンガの歴史にその名を刻む、伊藤潤二本人セレクトによる作品集。その昔1999年3月に別冊「ネムキ」として『伊藤潤二WORLD』という雑誌刊行があり、当時菅野美穂さん主演で『富江』が映画化されたときに記念出版された雑誌形態のムック本。この本にも収録されていた「長い夢」「ファッションモデル」などをあらためてご本人が今回ベスト選出していることに感慨を抱いた。個人的には連載当時、『首吊り気球』を初めて読んだ際、周囲に騒ぎまくったことを思い出した。心理学者の見解が知りたい、悪夢分析の良い題材になりそうな、奇妙きわまりない着想。当時のアイデアノート+書き下ろし短編も掲載(今村方哉/レコード会社勤務)
■ホラーマンガファンはもちろん、日本人なら絶対読んでおくべきマスターピースな一冊。カフカや安部公房の幻想・怪奇小説を思わせる「奇妙な味」、世界の不条理や人間の深層心理をずぶずぶと素手でまさぐるような幻想的世界観、奇想天外な物語の仕掛けは、ホラーというよりは「綺談」と呼びたい(井口啓子/文化系ライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第6位(48ポイント)
『図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編』 有川浩(作) 弓きいろ(画)
『図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編』
弓きいろ(著)有川浩(作) 白泉社
防衛部・図書特殊部隊の堂上班に所属する熱血バカ・笠原郁と、彼女の上官にあたる怒れるチビこと堂上(どうじょう)篤との、不器用ながらも少しずつ進展していく恋模様を描く。
実写映画も好評を博した原作小説のスピンオフマンガのさらに特別編ということで、本編では描ききれなかった恋愛要素をたっぷりと見せて、シリーズのファンから高い支持を得ました。
オススメボイス!
■2人のラブ全開でほのぼのとします。(宮脇書店本店/コミック担当)
■映画も高評価! この特別編ではラブラブな2人が見れて幸せです(穂高茉莉/楽器店店員)
第6位(48ポイント)
『涙雨とセレナーデ』 河内遙
『涙雨とセレナーデ』
河内遙 講談社
元気いっぱいの女子高生・片桐陽菜(かたぎり・ひな)は音楽の授業中、不思議な光に包まれて明治40年にタイムスリップしてしまった。
その時代で陽菜は、本郷家の御曹司・孝章とそのいいなずけで自分にそっくりな少女・北峯雛子に出会う。
新人ラジオパーソナリティの奮闘を描く同作者の『リクエストをよろしく』と同時リリースとなった本作は、せつないタイムスリップ・ロマンス。
目が離せない展開に今から注目が集まっています。
オススメボイス!
■タイムスリップもの。ロマンスやサスペンスや女性同士の友情の要素もあり今後に期待。(時空を超えた)初対面の2人が打ちとけ合うのを違和感なく表現できる筆力に感心。(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
■女性向けのタイムスリップものは最近よく目にしますが、明治時代はいいですね! 『夏雪ランデブー』の作者の新作とあっては読まないわけにはいきません(黒谷貴清/フリー編集)