話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『リアルアカウント』
『リアルアカウント』第1巻
オクショウ(原案) 渡辺静(漫画) 講談社 ¥429+税
(2014年5月9日発売)
総務省の「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、現在、主なソーシャルメディア(LINE, Facebook, Twitter, mixi, Mobage, GREE, Google+など)のいずれかを利用したことのある日本人の割合は、10代から60代のあいだでは65.0パーセント。
若年層に限定すれば、10代で79.3パーセント、20代で95.5パーセント、30代で84.0パーセントと、もはやなんらかのかたちでソーシャルメディアを利用したことがある人のほうが、そうでない人よりもはるかに多い。
今回取り上げる『リアルアカウント』は、まさに、そんな時代だからこそ描かれた快作だ。
基本、実名での登録のみ。現実とリンクした各種サービスも充実。国からの支援を受けていることもあり、もはや現代人にとって必須のサービスとみなされている、国内最大のSNS「リアルアカウント」(通称「リアアカ」)。
イメージとしては、先ほど話題にした、7つのソーシャルメディアをすべて合わせたようなものだ(作中でも、本編開始時の数年前に、人気のあったSNS複数が統合されて「リアアカ」になったという説明がある)。
物語は、そうしたSNSが存在する世界で、とある事情からリアアカに耽溺している高校生・柏木アタルが、ほかのヘヴィユーザーたちと一緒に、リアアカの内部の「世界」に意識を閉じこめられてしまうことで、大きく動き始める。
その世界に待ち受けていたのは、リアアカの名物マスコットキャラクターと同じ名をした奇妙な司会者「マーブル」。
閉じこめられたアカウントのなかの人たちが肉体に意識を戻すためには、マーブルのしかけるゲームに参加しなければならない。
ゲームに失敗すれば即死亡。
リアアカの世界での死は、現実の肉体にとっても死を意味し、さらに、自分が死ぬと、リアアカのアカウントをフォローしているSNS上の「友達」――フォロワーの命も巻き添えで奪われる。