複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。
今回は、「ファミマカフェのフラッペが超人気アイスメーカーとコラボ!?」について。
『言える化 「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密』
遠藤功(著) 潮出版社 ¥1,400+税
(2013年10月5日発売)
ファミリーマートで販売されている「フラッペ」をご存じだろうか?
ザリザリしたシャーベット状の飲料であり、甘~くて「ンマ――イ!」ので、ガツガツと一気に飲みこんで頭がズキズキすること必至の人気商品である。
夏が近づいてきたこの時期にはピッタリだろう。
ギラギラと日射しの強い日に飲めば、もう気分はメロメロだ。
じつはこの「フラッペ」、アイスキャンディー「ガリガリ君」でおなじみの赤城乳業とファミリーマートが共同開発した商品だそう。
われわれがウカウカしているスキに、ガリガリ君による世界侵略がチャクチャクと進んでいたのだッ!
なにしろ本家のガリガリ君は、コーンポタージュ味やナポリタン味なんかをリリースした経歴がある。もしかしたら近い将来、すべての食品がガリガリ君になっているのかもしれないッ!!
ソモソモ、ガリガリ君は1981年に発売が開始された。
すでに35年もの歴史を持つロングセラー商品だが、全国区の人気を得るようになったのは2000年代に入ってから。かなり最近のことなのである。テレビCMで知名度を高めると、大幅に売り上げを伸ばし、かくしてガリガリ侵略がはじまったのだ。
このガリガリ侵略は、マンガ界にも波及している。
権利的な問題で実名こそ使えないものの、「ガリガリ君」を連想させるようなアイスキャンディーが近年のマンガで見受けられることが顕著になった。
赤城乳業のメディア戦略が奏功し、世間的に「アイス=ガリガリ君」のイメージが定着した証拠ではないだろうか。
といったわけで今回は、マンガのなかに登場する「ガリガリ君」的なるものをガンガン追求していく。
オレ、ガリガリ君!
『だがしかし』第1巻
コトヤマ 小学館 ¥429+税
(2014年9月18日発売)
まずは駄菓子を題材にした『だがしかし』(コトヤマ)。
今年1~3月にはテレビアニメも放映された「週刊少年サンデー」連載の人気作品だ。
主人公の実家「シカダ駄菓子」店を舞台に、毎回異なる駄菓子がフィーチャーされるのだが、「第4かし:きなこ棒」(第1巻収録)では物語冒頭に「ゴリゴリ君」のあたり棒を持った子どもが店にやってきて、アイスと引き換えていくシーンが描かれる。
これは間違いなく「ガリガリ君」がモデルであろう。
あたり付きなのも「ガリガリ君」の魅力のひとつだ。
ちなみに「ゴリゴリ君」を受け取った少年は、店を出てくすぐにヒロイン・枝垂ほたるに万引きを疑われて捕まってしまう。
どうやらこの世界には「ゴリゴリ君ハンター過激派」なる者が存在するらしい。
『青の祓魔師』第3巻
加藤和恵 集英社 ¥438+税
(2010年3月4日発売)
『青の祓魔師』(加藤和恵)に登場するアイスも『ゴリゴリ君』である。
第8話「黒猫」(第3巻収録)では、勉強中に買い出しに出た主人公・奥村燐は、「ゴリゴリ君 ソーダ味」を買ってくる(双子の弟・雪男に頼まれたミネラルウォーターは忘れてきたが……)。
『青の祓魔師』の主人公・燐は、人間と悪魔のハーフであり、父親のサタンから「青い炎」を受け継いでいる。青つながりでソーダ味、ということだろうか。
「ガリガリ君」はさまざまなフレーバーが発売され、年間5億本もの売り上げを記録しているが、やっぱり基本はソーダ味だ。
『ハイキュー!!』第1巻
古舘春一 集英社 ¥400+税
(2012年6月4日発売)
スポーツマンガといえば、部活帰りにアイスを買い食いするシーンもまた定番である。
高校バレーを題材にした『ハイキュー!!』(古舘春一)では、主人公・日向翔陽の所属する烏野高校でリベロを務める2年生の西谷夕が、「好物はガリガリ君」と公言している。
翔陽と初対面の際に「西谷先輩」と呼ばれ、その響きに感激した西谷は「練習のあとで……ガリガリ君奢ってやる……」「“先輩”だからな!」と言うのであった。
「ガリガリ君」は今年4月に25年ぶりに10円値上げして1本70円となったが、それでも中高生のおサイフには優しい価格設定。
後輩におごるには最高のチョイスだ。
『ガリガリ君』第1巻
小ガエル 小学館 ¥390+税
(2008年7月28日発売)
ここで「ガリガリ君」にはオフィシャルのマンガ作品があることにも触れておこう。
2005年に創刊された小学館「月刊コロコロイチバン!」には、創刊号から赤城乳業オフィシャルのマンガ『ガリガリ君』(小ガエル)が掲載されてきた。
主人公はもちろんガリガリ君。幼年誌らしい明るいギャグマンガであり、創刊から今年まで足かけ11年にも渡る長期連載となった。本家のアイスと同様、息の長い活躍を見せ、若年層に向けて商品をアピールし続けたのである。
若いファンを開拓し続けたことが、現在の「ガリガリ君」人気を下支えしているのだろう。
さてさて、「ガリガリ君」についてずいぶんゴチャゴチャと述べてきたが、すでに「ガリガリ君」は国民的アイスと言っても過言ではない存在だ。
今年の夏は猛暑が予想されているだけに、「フラッペ」や「ガリガリ君」が重宝されるだろう。
もはやわれわれは、ガリガリ侵略から逃れるすべはない。
オレ、ガリガリ君。キミは、なにガリ君だッ!?
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama