日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『だがしかし』
『だがしかし』第4巻
コトヤマ 小学館 ¥429+税
(2015年12月18日発売)
1月からTVアニメの放映がスタートするやいなや、あっという間に単行本の部数が大きく伸びたとか。
納得ですよ。おもしろいもの。
田舎にある小さな駄菓子屋の跡取り息子(だが漫画家志望で継ぐ気ナシ)の鹿田ココノツと、駄菓子を偏執的に愛する型破りなお嬢様の枝垂(しだれ)ほたる。そんな2人が、駄菓子にまつわるあれやこれやの豆知識を、ときに周囲の人々を巻きこみながら、軽快なボケとツッコミに乗せて語り倒すハイテンション・コメディ。
それが『だがしかし』という作品の基本構造。
その点は、3巻ラストの夏祭りのエピソードを受けてほんのちょっぴりしんみりとした雰囲気で開幕する4巻でも、やはり変わらない。
「森永ラムネ」「超・怖い話ガム」「おやつカルパス」「カットよっちゃん」「食べるんですHi」「ポッキンアイス」などなど、長年の定番商品から、近年登場したヒット作まで、縦横無尽に駄菓子愛を語り倒すほたると、そんな彼女の暴走につっこんだり、ボケにつきあったり、説明に適切な補足を入れたりと、大活躍を見せるココノツ。
2人の名コンビぶりが生み出す作品の時空は、うすた京介からの影響を感じさせつつも、独自のものとして完成されている。
著者のフェチなこだわりが全開になっているほたるの美少女ぶりもあいまって、読めば読むほど、深みにハマる作品だ。
流行りに乗るのを恥ずかしがらず、今が手を出すチャンスかと!
<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei