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性感染症防止にのりだしたのは、なんとセーラームーン!! 美少女戦士が増える性感染症をとめるためにたちあがった!? 【B級ニュース】

2016/11/29


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「『美少女戦士セーラームーン』が性感染症を防ぐ!?」について。


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『美少女戦士セーラームーン 完全版』 第1巻
武内直子 講談社 ¥1,500+税
(2013年11月27日発売)

検査しないとおしおきよ!!

性感染症の予防や早期発見、治療の必要性を啓発することを目的に、なんと厚生労働省が『美少女戦士セーラームーン』と劇的コラボを実現した。
セーラームーンのポスターやリーフレットが配布されるだけでなく、ハート型のコンドームパッケージも作成しているという。
この衝撃ニュースにネット界隈は騒然。セーラームーン起用の是非をめぐって侃々諤々の議論が巻き起こり、まさに思考回路はショート寸前である。

とはいえ、性感染症、とりわけ梅毒の報告例はこの5年間でなんと4倍。女性感染者の数は6倍にもはね上がっている。とりわけ15~19歳に限れば、同年代の男性の3倍も多いというから深刻である。 『美少女戦士セーラームーン』の著者・武内直子は薬剤師の資格を持っているので、この事態を憂慮し、今回のコラボ企画を快諾してくれたのだろう。なにせ著者の許可がなければ実現などしないのだから。

タブー視すれば問題が解決するわけではない。
国破れて山河あり、ゴム破れてチ○ポあり。
女性の健康と権利を守るためには、正しい知識が絶対に必要なのだ。

同じ地球(くに)に生まれたミラクル・ロマンスとは、Lover(恋人)にしてRubber(ゴム)だったのである。
ぬうっ、思考回路はショート寸前ッ!!!!!!

さて、性感染症予防にコンドームは重要だが、ゴムの用途は多岐に渡る。
身のまわりを見わたせば、ありとあらゆるゴム製品が目につく。水まわりのパッキンも、車のタイヤも、輪ゴムも長靴も、われわれの生活に欠かせない存在がゴムなのである。

それはマンガにとっても同じこと。
作中のさまざまなシーンでゴムが活躍しているのだッ!
といったわけで今回は、ゴムが印象的なマンガ作品を大特集する。

ゴメンね、素直じゃなくって!!!


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『ONE PIECE』 第1巻
尾田栄一郎 集英社 ¥390+税
(1997年12月発売)

国民的ゴムマンガといえば、もちろん『ONE PIECE』(尾田栄一郎)である。

主人公のルフィは、ゴムゴムの実を食べて全身がゴムになったゴム人間。
身体のあらゆる部位がゴムのように伸縮するので、その特性を活かして「ゴムゴムの銃(ピストル)」や「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)」などの技を繰り出して強敵たちを打ち倒していく。
ゴムは絶縁体なので電気を通さない、という知識を『ONE PIECE』で知った読者もきっと多いハズだ。

ゴムの有用性と特性を学べる『ONE PIECE』こそ、まさに“国民的ゴムマンガ”の名を冠するにふさわしい。


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『HUNTER×HUNTER』 第1巻
冨樫義博 集英社 ¥390+税
(1998年6月4日発売)

同じくゴムの性質を利用して戦うのは、『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)に出てくるヒソカ。
彼の念能力「伸縮自在の愛(バンジーガム)」は、ゴムとガム両方の性質をあわせ持つオーラを、人や物にくっつけて、自分のそばに引き寄せるのだ。
通常のゴムと同様、伸ばせば伸ばすほど、縮むときの威力は大きくなるものの、本体から10メートル以上離れるとちぎれてしまう。

「キメラアント編」では姿を現さなかったヒソカだが、どうやらゴムのように粘り気のある執念で幻影旅団の団長を追跡していた模様。
「週刊少年ジャンプ」連載分(現在は休載中)では、天空闘技場でヒソカとクロロ団長がついに対決に及ぶ。
これが現在進行形の「暗黒大陸編」にどのように関与するのか、動向を見守りたいところだ。

ともあれ、「暗黒大陸編」には王位継承候補として14人の王子が登場する。
まあ、今回の「B級ニュース」はセーラームーン絡みの話なので、やはり王子は外せないな、と。


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『ゴムテ』 第1巻
中川いさみ 小学館 ¥905+税
(2002年8月30日発売)

そして最後に『ゴムテ』をオススメしておこう!

中川いさみによるナンセンス・シュールギャグ4コママンガで、主人公のゴムスケさんは頭にゴム手袋をかぶったナイスガイ。息子の名前はゴムオで、やはり頭にゴム手袋をかぶっている。
ゴムスケさんのお父さんは「火星人が見つかるまで解凍するな」といって自宅の冷蔵庫の冷凍室でコールドスリープしていたが、途中で起こされて体は粉々に砕けてしまう。

ところが、頭部を掃除機の吸い口に装着したら生き返り、掃除機人間になるのだ。また、やたらと包丁を振りまわす飼い犬のケビンとか、中川いさみ節が全開のキャラがこれでもかと登場してくる。

……この説明で、本当に理解してもらえるか不安だが。

いずれにせよ、著者の中川いさみは近年では『中川いさみのマンガ家再入門』が話題になったが、本作は“本業”のギャグが抜群にさえわたっているので注目してほしい。


このように、われわれの生活と同様、マンガの世界もゴムが大事であることがおわかりいただけたと思う。
ほかにも世のなかに数多くのゴムマンガがあり、なかには「えっ、そのゴム知識は間違ってない!?」なんてものもあるかもしれないけれど、そこはひとつ、寛大な心で受け止めようではありませんか。

ゴムだけに、表現はのびのびと。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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