「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の人気企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、
TVアニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』
運命の戦いに決着がつく時がきた――!!
現在放送中の『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』がかなり熱い。ええ、そりゃもう記録的な寒さもぶっ飛ぶほど。
なぜなら原作でも読者から話題を呼んだ「烏野高校 VS 白鳥沢学園高校」戦が今期描かれているからだ。
本作は、強靭な運動神経とバネを持った小柄な主人公・日向翔陽や天才セッター・影山飛雄をはじめとする、宮城県立烏野高校排球部の活躍を描いた物語。
過去に輝かしい成績を収めてきた烏野高校は、近年その栄光から離れ「堕ちた強豪、飛べない烏」と揶揄されてきた。しかし日向、影山ら期待の新入部員、仲間たちの復帰、かつて烏野を全国大会まで導いた烏養監督の孫・烏養繋心をコーチとして迎え入れ、再び全国の舞台、「頂の景色」を目指しはじめる。
智略型セッター・孤爪研磨(こづめ・けんま)をかかえる東京の古豪・音駒や、攻撃型セッターで高いカリスマ性のある及川徹率いる青葉城西といった、強敵たちとの練習や試合を経て、成長をとげてきた烏野。
ついに“バレーボールの甲子園”ともいわれる「春の高校バレー」宮城県予選で、全国への切符をかけ決勝まで上り詰めた烏野は、全国大会出場の常連である白鳥沢学園バレーボール部と対峙することに。今回のアニメ第3期はまさにこの白鳥沢との戦いが描かれているのだ!
他校から「王者」と呼ばれる白鳥沢は、スポーツ特待生が数多く所属し、主将・牛島若利をはじめとするメンバー全員が高い能力を誇るエキスパートだ。特にこの牛島は全国高校3大エースのひとり。彼の強烈なスパイクに見てるこっちも思わずひるんでしまうほど、アニメでもその強さをいかんなく見せてきた。激しい攻防を経て、いよいよ物語はクライマックスをむかえようとしている……!!
「落とすまい」「繋げたい」とボールがあがるごとに紡がれていくドラマ、強くなっていく想いと絆。
烏野高校排球部の成長過程がアニメではより鮮明に瑞々しく描写されている。
何せ彼らは、試合のなかで驚くほどのスピードでひとまわりもふたまわりも変化していく生き物だからだ。その瞬間瞬間を逃さない。
さすが『新テニスの王子様』『黒子のバスケ』といったドラマティックなスポーツアニメを手掛けてきたProduction IG。動きは写実的で生々しくスピーディ、それでいてキャラクターの個性が光るカットや熱い演出に、筆者も動悸(トキメキ)が止まりませんよ!
作中に出てくる印象的なセリフがある。
「相手が強くても弱くても、 結果は勝つか負けるかのどっちかで、
負けたら、もうコートには立てない。」
試合を見ているとこの言葉が何度もリフレインする。
しかし、注目してほしいのは、勝敗だけではない。
たしかに負ければコートから去り、勝てば次のコートへ向かうことができる。
しかし“勝負がつく=物語が終わる”わけではない。
勝敗が決まったその先、彼らの前に必ず新たな道が開かれる。それが「試練」なのか「挑戦」なのかはわからない。しかし少年マンガ的にいうならば「彼らの物語はまだ始まったばかり」。 どんな結果になろうとも、勝敗が決することによって、烏野はじめ、白鳥沢、さらに頂点をめざす者たちすべてに、次の舞台へ進むための“さらなる飛躍”が求められるのだ。
ついに向かえたファイナルセット。コートに響くボールの音はまさに終焉までのカウントダウン。
最後のホイッスルが吹かれるその時まで……。
運命の決着とともに彼らが次なるステージへ羽ばたく瞬間を見守ろうではないか!
TVアニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』を
観たあとに……
今回、TVアニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしい原作を紹介しちゃいますよっ。
『ハイキュー!!』古舘春一(集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)
『ハイキュー!!』第1巻
古舘春一 集英社 ¥400+税
(2012年6月4日発売)
中学、高校時代にバレーボール部に所属し、バレーボールのマンガを描きたかったという著者が、まさに「一球入魂」ばりに描く本作。個性豊かなキャラクターたちが織りなす熱い試合模様、かいま見えるドラマ……読者の胸を打つセリフやシーンは、やはりバレーボール経験者ならではの着眼点と、著者の秘めたる熱さの表われだろう。本編ではアニメよりも先の熱い展開がまだまだ控えている(もちろんネタバレはしませんが!)。2017年1月には実際に春高バレーが開催される。これにあわせて、読んでみることもオススメしたい!
原作『ハイキュー!!』以外に、このマンガもおすすめ!
『その娘、武蔵』田中相
『その娘、武蔵』第1巻
田中相 講談社 \581+税
(2015年2月6日発売)
中学時代は環境やメンバーに恵まれず試合をしたくてもコートを去らねばならなかった日向に対し、こちらの主人公・武蔵は正反対。180cm超えの高い身長、強烈なスパイク、信頼できる仲間たち……「バレーするのに苦労したことがなかった」といいのける武蔵は、全中優勝後に突然の引退を表明し、まわりを驚かせる。理由は「部活なんて必死に続けてもイミないからッ」!
到達してしまったその先にあるのは……と、才ある選手に起こりがちなスランプ。しかし、限界を決めるのは自分ではない。新しい世界で武蔵が見つける「部活をバレーをやる意味」に、胸が熱くなる。本作では部活動のヒリヒリとするリアルが描かれているところも見どころ。『ハイキュー!!』とはまた違う熱い部活もの青春ドラマを堪能してほしい。
<文・はろるどキサラギ>
フリー編集者。見習い感あふれる感じながら、ときに執筆やデザインも手がけることも。アニメとマンガが“ズッ友”。スポーツしてるDKが大好きだと叫びたい。今秋も来年もスポーツしてるDKアニメがいっぱいでとにかく幸せ。