『あなたのことはそれほど』第2巻
いくえみ綾 祥伝社 \933+税
(2014年7月8日発売)
「いつか罰があたる」と思いながらも不倫をやめようとしない美都の業の深さに、不条理と甘美さの混濁を見せつけられる。アラサーW不倫ストーリー、2年ぶりとなる待望の新刊だ。
中学生のとき好きだった有島に、街で偶然再会した美都。夫がいることには触れず、ソッコーで一夜をともにしてしまうのだが、ほどなく有島にも妻がいると告白される(しかも、再会したときは奥さんが出産のため帰省中だったという!)。
それでもお互いに家庭は壊さないようにしつつ、しれっと不倫関係を続けていこうとするのだが……いやはや当事者のつれあいたちのクセモノ感がここに来てグイグイ物語を盛り上げる!
美都の夫・涼太は、料理上手で性格はひたすら穏やか。美都を縛ることはいっさいない理解ある夫だ。しかし、涼太は「結婚まもない夜」に、美都が寝言で漏らした「有島」の名前を聞き漏らさず、その日から美都の携帯をひそかにチェックするようになる。
有島の妻・麗華は、その名前に人知れずコンプレックスを持っていたという地味なルックス。しかし、知的でしっかり者なだけでなく、根っこの部分はなかなか女性らしい。美人ではないが、相手の攻めどころと自分の持ち味を熟知して迫るタイプのいい女である。学生時代を通じてモテまくりで、女性に対して目の肥えた有島が最終的に彼女を選んだのも納得、という感じだ。