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5月2日は「忌野清志郎の命日 」 『スローモーションをもう一度』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/05/02


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

5月2日は忌野清志郎の命日。本日読むべきマンガは……。


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『スローモーションをもう一度』第3巻
加納梨衣 小学館 ¥552+税


2009年の今日、偉大なロックシンガー・忌野清志郎が、がん性リンパ管症のため死去した。58歳だった。高校時代にR.C.サクセション(当時の表記)を結成し、1970年にRCサクセションとして「宝くじは買わない」でデビュー。当時はフォークグループで1972年に「ぼくの好きな先生」がヒットしたが、その後は低迷。70年代後半にエレキ編成のロックバンドとなり、グラムやパンクの影響から清志郎が奇抜なメイクをして歌い始めてから人気に火がついた。

1980年リリースの「雨あがりの夜空に」「トランジスタ・ラジオ」を筆頭に代表曲を次々に生み出したRCだったが、世間的な認知度を一気にアップさせた事件が1988年に勃発する。洋楽のヒット曲に清志郎が日本語詞をつけたカバーアルバム『COVERS』の発禁騒動だ。清志郎はエディ・コクランの「サマータイム・ブルース」のカバーで原発の安全性について言及、これをRCが所属するレコード会社・東芝EMIの親会社である東芝が問題にしたのだ。

結局アルバムは発売中止となり、激怒した清志郎は東芝と絶縁、のちに『COVERS』はキティレコードからリリースされる。発売中止の際に新聞広告で掲載された「上記の作品は素晴らしすぎて発売出来ません」というコピーとともに騒動は世間一般でも大きな話題となり、連日メディアを賑わせた。

そんな80年代の清志郎に想いを馳せながら読んでほしい「きょうのマンガ」は『スローモーションをもう一度』。80年代カルチャーに魅せられた平成生まれの高校生、薬師丸ちゃんと大滝くんが紡ぐ“君に~胸キュン”なストーリーだ。

モジモジしつつジリジリと距離を詰めてきた2人だったが、4月28日発売の第3巻では思わぬ人物が割って入ることに。チャラそうな関西弁男だが、アコギをかきならしながら「イエ~!」と絶叫し、清志郎になりきっている。薬師丸ちゃんの昔なじみを自称する青年の名は仲井戸。もちろんRCサクセションのギタリスト、チャボこと仲井戸麗市からの引用だ(そのほかにもRCネタが隠されております)。

お邪魔虫の登場がプラトニックな2人の関係にどんな影響を与えるのかは、コミックスでお確かめいただきたい。80年代カルチャー全般を散りばめているとはいえアイドルネタが中心だった本作に、仲井戸がロックの風を送りこんでくれることにも期待だ。

話を清志郎に戻そう。『COVERS』騒動から30年近い歳月が流れた現在、東芝は粉飾決算の発覚に加えて海外原発事業に失敗し、撤退を余儀なくされるなど不祥事が続々と表面化。決算のごたごたもあり、上場廃止が危ぶまれるほどに追い込まれている。清志郎が生きていたら、今の東芝をどんなふうに捉え、どんなふうに歌ってくれたのだろう。そんなことを思わずにはいられない。



<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。実家は清志郎が愛した国立。現在は中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞野郎。

単行本情報

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