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【日刊マンガガイド】『しょーがくせれぶ』第2巻 中村カンコ

2014/09/11


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『しょーがくせれぶ』第2巻
中村カンコ 双葉社 \820+税
(2014年8月28日発売)


「お嬢様」「令嬢」って本当にいるんだろうか?
いるんだとは思うけど……少なくとも大多数の日本人は見たことがなく、かぎりなくファンタジー。マンガではそこを利用し、「お嬢様」属性持ちキャラは欠かせない存在になっている。
お嬢様は1作品にひとりいれば充分である。しかし、お嬢様属性の小学生しか出てこない、というインフレを楽しませるのがこのマンガだ。

メタ的なテンプレお嬢様として登場するのは、大金持ちにしてツンデレな桜子。
そのほかはかなり個性的で、父がIT会社社長の情報通・こもも、両親が一流スポーツ選手のはしる、売れっ子小説家の娘・あやめと、あらゆる角度から「セレブ」になりうる小学生像を突っ込んでいる。

そもそも「お嬢様」が概念化しているのをいいことに、現実離れしたことでもOKにしてしまう展開が楽しい。
作家の娘のあやめは一見高貴な和風少女、でも普段は官能小説家を目指すため、淫猥なことばかり考えては口走っている(ちょっとここには書けないレベル)、とか。IT時代をリードする家庭で育ったこももは、ソーシャルゲームとして「バーチャル大炎上」なる、ネット炎上ゲームをプレゼンしてしまうとか。このひと言でまとめられるだろう。「さすがセレブ、住む世界が違うぜ」。

この「さすがセレブ」という感覚は問題でもある。もともとは貧乏で、子役で一気にブレイクしてお金持ちになったヒロイン・めありと、絵に描いたようなお嬢様・桜子との間に溝を生んでしまう。
2人はお互いに、仲よくなりたい、と思っているいたって普通の小学生。しかし、ドタバタな「セレブ」生活にもまれていくうちに、冗談ではなく「住む世界が違う」ことのギャップでケンカになってしまうのだ。

最初から最後まで、破天荒なセレブ(っぽい)生活を描いたこの作品。
その裏側で、マンガのなかでネタ化されがちな「お嬢様と庶民は住む世界は違うのか」という問題点をきれいに整理し、とても爽やかな作品としてまとまっている。あやめのねっとりとした、官能小説部分以外はね。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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