『富士山さんは思春期』第4巻
オジロマコト 双葉社 ¥600+税
(2014年7月28日発売)
上場くん、中学二年生。身長160cm。普通。
富士山さん、中学二年生。身長181cm。大きい。
背の高いカノジョ、富士山さんとのピュアな恋愛模様を描いたマンガだ。
「背の大きい子フェチズム」は、存分に盛り込まれている。大きいからこそ感じられる肉のむちむち感や、チラリズム。このあたりは現代版『かぼちゃワイン』だろう。
最初は上場くんも、彼女のフェチズムにやられて惚れてしまう。富士山さんの描写は、あまりにも肉感的で、見ていてとてもムズムズする。
しかし、この作品の本質は、富士山さんの繊細な心と、それを見つめる上場くんの心境の変化にある。
背が大きいというのは、いじめの対象にもなる。笑われることもある。邪魔者扱いされることもあれば、洋服を買いにいってもサイズが合わないこともある。
特に中学生では、「女子で背が高い」というのは、からかわれることのほうが多い。
富士山さんは、ポジティブな性格で、どんなことがあっても身長ネタに関しては、笑顔で接する優しいほんわりした子として描かれている。だが上場くん視点から見ると、彼女はコンプレックスを抱えた、か弱い少女なのだ。
上場くんが、そんな彼女を必死に守ろうと背伸びする。富士山さんも上場くんの心遣いや、本当に好きでいてくれることを感じて、ちょっぴり幸せになれる。
4巻まで進んでも、まだキスもできない。手をつなぐのもおぼつかない。
2人がマイペースに恋を育む様子が心地よい作品だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」
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