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『ミトコンペレストロイカ』 第6巻 まん〇画太郎 【日刊マンガガイド】

2017/06/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ミトコンペレストロイカ』

  
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『ミトコンペレストロイカ』 第6巻
まん○画太郎 新潮社 ¥600+税
(2017年5月9日発売)


漫☆画太郎が「まん○画太郎」というギリギリな表記で世に送り出した最近の作品、『ミトコンペレストロイカ』の最終巻が刊行中である。

舞台は、洋風ファンタジーに現代日本っぽい文化をおりまぜた王国・ミトコンドリア。
物語は、この国が突如宇宙から飛来したエイリアンの大軍勢により侵略を受ける光景から幕を開ける。
人類は宇宙人たちを撃退したものの、その際敵の親玉に凌辱された女王がエイリアンの子どもをみごもってしまうというスキャンダルが発生。
女王は事実を隠蔽して、生まれた子どもはドラゴンとのハーフであるというファンタジックでかっこよさげな設定を世間に流布した。

それから時が流れること100年。
女王の息子はミトコンドリア王国の大王となり、年老いて、孫のマゴコンドリア姫をこよなくかわいがるおじいちゃんになっていた。
一方、溺愛がいきすぎてお城に幽閉されて育ったマゴ姫は人生に嫌気がさしていたが、伝説の怪盗への憧れに火がついたのをきっかけに、準備を整え、13歳にして初めて外の世界へ飛び出す。
大冒険を夢見るヤンチャなお姫さまは、付き人のメガネっ子忍者や怪盗の孫娘とパーティを組んで旅を始め、お宝をめぐって悪漢どもと戦い、最後には自分に宿るエイリアンの血筋と向きあうことに……。

という具合に大筋だけ書けばそれなりに整った内容になっていそうだが、そこはなんといっても描くものすべてが危険球な漫☆画太郎作品である。
登場人物の老若男女おかまいなしにキレ芸と殺られ芸を担当し、斬殺、爆殺、そのほかもろもろ暴力と人体破壊のオンパレード。
マゴ姫さまも可憐な見た目で傍若無人、行き倒れたところを助けてくれた老夫婦を疑ってドつきまわすロックさにしびれる。

『まんゆうき ばばあとあわれなげぼくたち』(1994年)以降、ロリかわいい少女キャラも描こうと思えば描けることを見せつけて読者を驚かせてきた画太郎先生だが、そのあたりのギャップをあらためて徹底的に活用したのが本作といえる。

また、第1巻から最終巻までのあいだに目立ったギャグとしては、お話の節目でとつぜん飛び出してくる暴走トラックがキャラクターを轢き殺して「完」が出るというネタがあるが、終盤になってこれがただの天丼ギャグでなく、わりと筋道だった説明がついたのは逆にびっくり。

謎の組織“MIT”こと“メン・イン・トラック”の使命とは……?
ブチギレて人喰いモンスターに変化してしまったマゴ姫さまを、仲間たちの絆が救えるのか……?
画太郎流ガールズファンタジーの着地点(着地してない)を、ぜひ見届けてほしい。

さて、ここからは余談。

本作はもともとのタイトルを『ミトコン』といい、初出は集英社「ジャンプスクエア」連載(2011年)だった。 これが1年とたたずに終わって新潮社「月刊コミック@バンチ」へ移り、『ミトコンペレストロイカ』と改題。
第1話リメイクからの仕切り直しであとへ続くこととなった訳だ。
そして2016年8月に第5巻が出た際、公式Twitterが「1カ月以内に第5巻を重版できないと……打ち切り決定!!?」という販促キャンペーン(?)をアナウンスし、結果そのとおりにいさぎよく打ち切られたという次第。

なんというか、作品のなかも外も画太郎先生らしい顛末でありました。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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