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『彼女中』 黒咲練導 【日刊マンガガイド】

2017/07/02


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『彼女中』

  
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『彼女中』
黒咲練導 白泉社 ¥880+税
(2017年5月31日発売)


『放課後プレイ』シリーズ完結の名残り惜しさも記憶にあたらしい黒咲練導。
その新刊、『彼女中(かのじょちゅう)』が5月末に単行本化された。

本作は、とある女子高校に通う4人の生徒たちがおりなす愛と欲望に満ちた人間模様を描く、珠玉のガールズラブ作品である。

クールで辛辣だが、色恋沙汰では押しに弱い「長谷川」。
長谷川さんと過去にワケありで、今は下級生から教師まで喰いまくるプレイガールな「愛場」。
長谷川さんの後輩で、気弱そうだがじつは恋人として主導権を握るメガネっ子の「野宮」。
長谷川さんのクールな態度とソフトな内面のギャップに惹かれて浮気を迫ってくる「赤沢」。

想いを寄せる同性へ熱に浮かされた赤い顔を向けてにじりよる少女たちの群像は、全ページ全シーン、どこをとってもネットリからみつく読み味で、黒咲作品の本領がいかんなく発揮されている。

本作は白泉社のコミックアンソロジー「楽園」のWEB増刊で2012年の夏から今年の春まで連載されていたもので、単行本では描き下ろしのエピローグが4ページぶん追加してある。
最終的には、泥沼にハマった4人の関係は長谷川さんを軸にして一種のまとまりをみせるため、読後感が妙にさわやかなのがおもしろいところだ。

ちなみに、単行本のオビでは本作を“著者初の本格的ガールズラブ連作”と紹介している。
「そういえばそうだっけ?」と既存作をふりかえってみると……。

『放課後プレイ』は基本的に男女カップルのいちゃいちゃ。
『レセプタクル』は女2人と男ひとりの三角関係。
『超熱帯夜orgy』は女同士の緊密な空間を描くが、日常レベルの会話が主題。
『ユエラオ』は女子高生カップルが登場するも、緊縛SMという題材が先に立ち、縛りの師匠にあたる男性も出てくる。

あとは短編集……と。
なるほど、たしかに「完全に女性キャラだけで構成される」「長編の」「ガールズラブそのものが題材」という条件では初めてなんですねー。

その点では、黒咲作品を初体験する読者だけでなく、従来からの黒咲ファンにとっても新鮮さがあってうれしい1冊といえるだろう。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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