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『好奇心は女子高生を殺す』 第1巻 高橋聖一 【日刊マンガガイド】

2017/08/12


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『好奇心は女子高生を殺す』



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『好奇心は女子高生を殺す』 第1巻
高橋聖一 小学館 ¥600+税
(2017年7月12日発売)


新鋭・高橋聖一の、『高橋聖一のよいこのSF短編集』に続く2冊目の単行本。

主人公はノーテンキで好奇心本位主義の少女・柚子原みかんと、無愛想でクールを装っているが内心は繊細な才女・青紫あかね子の2人。
高校に入学したその日の放課後、みかんが馴れ馴れしくあかね子を誘ったことから、好奇心に身を任せた2人の冒険が始まる。

ひょいと無人島でのサバイバル生活を余儀なくされたり、ひょいと土星に到着したり、ひょいと特撮ヒーローっぽい地球刑事に任命されたり、ひょいと「あの世」にいったりと、時空(?)を超越した事件が次から次へと沸き起こる。

ともに好奇心にあふれつつ、行動先行のみかんと、理屈先行のあかね子はとてもいいコンビだ。
オープンマインドで好奇心旺盛なみかんはきっと人気者だと思うのだが、人間離れしたみかんの行動力についていけるのは、人間離れした理解力を持つあかね子だけなのかもしれない。
そんな2人の関係が、ちょっと百合風味で微笑ましく描かれる。

また、オープニングエピソードを除き、すべてのエピソードが10ページ少々のページ数にまとめられているのにも舌を巻く。
短編作品らしい、ラストページぎりぎり直前まで引っ張って引っ張って、最後にすとんと落とすオチの小気味よさが存分に味わえるのだ。
で、ページ数の少なさに物足りなさを感じるかといえば、これがそうでもない。
背景のなかの看板や広告、電光掲示板の文字、棚に並んだ小物など、細かい部分にまでこだわりと、ときに偏執的な粘り(87ページの2つの数学テストの数式!)を見せる描き込みで、ページ数以上の情報量を流しこまれる快感がある。

藤子・F・不二雄的な「すこしふしぎ」のSF精神と、『千夜一夜物語』などのおとぎ話に通じる自由な物語が楽しめる。
パッと始まりすとんと終わる、一話完結の短編作品のメリットと魅力を備えた作品だ。



<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。学年誌の傑作ウルトラ記事を集めた新刊『学年誌 ウルトラ伝説』が発売中!4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。

単行本情報

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