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『女一匹冬のシベリア鉄道の旅』 織田博子 【日刊マンガガイド】

2017/08/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『女一匹冬のシベリア鉄道の旅』



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『女一匹冬のシベリア鉄道の旅』
織田博子 イースト・プレス ¥1,200+税
(2017年7月15日発売)


『女一匹シベリア鉄道の旅』『女一匹シルクロードの旅』の著者が、今度は真冬のシベリア鉄道の旅に挑戦。

シベリアと聞いただけでもなんとなく寒々しい気分になるのに、何を好き好んで真冬に。しかも、シベリア鉄道の発着するウラジオストクまで、東京から飛行機で数時間で行けるのに、わざわざ青春18切符で鳥取の境港までいって、船でウラジオストクに入るなんて…。

「苦行!?」と思う人もいるだろう。しかし、それを「大航海時代みたいで素敵」と目を輝かせる著者だからこそ、本作には物見遊山の旅とは対極のロマンがぎっしりと詰まっているのだ。

現地のおうちで家庭料理を教わったりの交流もほほえましいが、なんといっても本作の目玉は著者が大ファンの「ブラン村のおばあちゃんたち」に会いにいくくだり。
ウドムルト共和国の赤い民族衣装に身を包み、伝統のピロシキを振るまいながら民謡を歌う平均年齢65歳のアイドルバンドにはるか遠方の日本人が夢中になるなんて…。

いかにもネット時代らしいシュールな出会いが、何日もかけて鉄道と船を乗り継いだ結果、リアルでのあたたかな邂逅へと結実するシーンには、思わずジ~ンとせずにいられない。

あとがきによると織田さんは昨年、お子さんを出産されたそうで。
作中には、ブラン村のおばあちゃんに「子供は?」と問われ「来るのを待ってる」と答えるシーンがあっただけに、読者もよかったねえ……とニッコリうれしくなる。

現在は絶賛子育て中ゆえひとり旅はしばらくお休み、「女一匹」シリーズもここでおしまい――と聞くとファンとしてはさみしいが、いつか『女一匹と子ブタ一匹の旅』を読める日を気長に待ちたい。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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