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『それでも町は廻っている』第13巻 石黒正数 【日刊マンガガイド】

2014/10/16


SOREDEMOmachiha_s13

『それでも町は廻っている』第13巻
石黒正数 少年画報社 \533+税
(2014年9月30日発売)


12巻ラストの第98話で登場人物の未来像が描かれ、さらにサブタイトルが「エピローグ」だったため、終了説が流れた『それ町』。
もちろんそれにはオチがあったが、単行本上のカウントで100話を迎えた13巻の発刊にはうれしさもひとしおだ。

今巻は人気キャラ・紺双葉先輩の登場エピソードが多めなのもうれしいところ。
やや長編の102話「廃村」では、古道具屋の静に人見知りして歩鳥に甘え、強がりながらも怪異におびえっぱなしの双葉がかわいらしい。
また、104話「暗黒卓球少女」では9巻収録の第71話「歩く鳥」で触れられた、中学時代の双葉の先輩・座成が顔出しで登場する。針原が見ていた中学時代の双葉と座成の関係は、「歩く鳥」での双葉の回想シーンと違い、ずいぶんと柔らかな印象を受ける。これは単に、針原の人のよさを表すものととれなくもないが、『それ町』で起こる少し不思議なできごとと同じく、何層にも重なった事象が謎や誤解を産んでいるのかもしれない……とも思わされる。ともあれ、双葉に対する歩鳥の立場について抱く針原の羨望は、読者も大いに共感を覚えるはず。

ほかにも、歩鳥の弟タケルとエビちゃんのほほえましい恋模様、嵐山家の飼い犬ジョセフィーヌの交友関係、11巻第86話のほんの数コマに描かれた浅井と海老洲の後日譚や、シーサイドで常連たちと繰り広げる騒動や学校のミステリーなど、あいかわらずの日常に見えて、少しずつ進んでいる。
郊外型ショッピングモール全盛の時代といわれるが、整然としたそれらにはない隙間や路地裏に不可解なもの、忘れ去られたものが潜むのは地域密着型の商店街ならでは。これからもずっとこの町に「廻り」続けていてほしい。



<文・和智永 妙>
ライターたまに編集。『このマンガがすごい!』以外に、「マンガナビ」公認ナビゲーター、ほかアニメ記事など書いています。

単行本情報

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