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『くだみみの猫』第3巻 中山幸 【日刊マンガガイド】

2015/06/12


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『くだみみの猫』第3巻
中山幸 KADOKAWA \562+税
(2015年5月23日発売)


巫女と式神は一体であり、ともに生きるもの。
その意識は交差して触れ合い、けっして離れられない――。

……とシリアスに始めてみたものの、じつはこのマンガ、属性萌えの宝庫ともいうべきラブコメディなのだ。
主人公は飯綱子猫(いいづな・ねねこ)、彼女の式神は鎖神七晩(さがみ・しちかげ)。
「クダ」という憑きもののせいでケモ耳があり、小柄で巨乳ですぐに落ちこんで、人を信じやすく七晩によればバカワイイ少女。
そんな子猫様を主人として、忠誠……というよりは、子猫様ラブのあまりに常に自作衣装でコスプレさせて、なおかつ自分の武器である鎖で縛りたがる、どう考えてもヤバい眼鏡男子が式神の七晩だ。

また基本はクール、でも子猫には心を開いてデレッデレになっている、絵に描いたようなツンデレ巫女、草乃市宮(そうのいち・みや)。
彼女にはイケメンだがとんでもなくMの、切神新月(きりがみ・しんげつ)という式神がついている。

ほかにも女医さん(ナース?)姿のお姉さん巫女+ショタ少年式神、幼女巫女+おじさん式神と、カップリングもじつによりどりみどり。
子猫を中心に、そんな彼らのサービスショットも毎回てんこ盛り。
かわいらしい絵柄で、ちょっとエロなシチュエーション。そんなマンガが、おもしろくないわけがない。

さて、子猫と宮は、一人前の巫女になるために修行中の毎日。
それには、式神との絆を深めることが肝心だ。
姿を変えて目立たなくした式神たちと一緒に学校にも通い、ともに事件を解決しながら成長をとげてきた。
ところが最近どうも、七晩の様子がおかしい。
どうやら意識が深い奥底にあり、何かよくないものに囚われているようだ。
子猫はそれが自分に憑いている「クダ」であると思い当たり、助けにいくことを決意。
そして彼女は、七晩の意識の中へと入っていく――。

こうして子猫のクダと七晩の秘密がほのめかされる一方で、前巻からぎくしゃくしていた宮と新月の関係も一歩進む。
3巻はなかなか重要な巻で、ますます今後が楽しみなところ。

なんといってもこのマンガには、百聞は一見にしかずということわざがよく当てはまる。
これだけの萌え属性を一身に受けてなおあまりある、かわいいなんてもんじゃない子猫様。
さらに、かなりの女子受けが見込まれるだろう、S系の眼鏡男子・七晩。
2人をはじめとしたそれぞれのキャラの絆や活躍を、ぜひマンガを見て実感していただきたいところ。
この作者で、この絵柄だからこそ、これだけの属性をいやみなく、魅力たっぷりに描けているのだと思う。

この第3巻にはドラマCD付きの限定版(アニメイト特装版)が存在しているが、秋にはドラマCD単体の発売も決定した。
豪華かつ納得のキャスティングで、おそらく読者の期待を裏切らないだろう。
ほかメディア展開も見え、人気もあがってきているこの一作。見逃せない。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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