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『境界のないセカイ』第2巻 幾夜大黒堂 【日刊マンガガイド】

2015/08/23


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『境界のないセカイ』第2巻
幾夜大黒堂 KADOKAWA ¥580+税
(2015年7月25日発売)


「性選択制度」。
人は生まれる時に性別を選べない。その不自由をなくすために、18歳以上になると、だれもが性別を変更することが可能になった。
すごく便利で、理にかなった制度なんじゃないですかね。

しかし、いざこれが適用されたとしたら、自分たちはどちらの性を選択するのだろう? という若者の悩みを描いた作品。
進路希望調査書にまで、性選択を希望するか否かを聞かれる。この世界ではだれひとりとして、性選択は他人ごとではない。

1巻では、主人公のもとにいとこの少年・啓太郎が性転換し、啓子になってやってくるところからスタート。理由は、恋をした相手が男性だったから。
2巻では、幼なじみの聡美が、野球を続けるために、男に性転換するかを悩む。性転換しなければプロ野球選手にはなれない。

「性転換作品」は、2つのものを浮き彫りにする。
ひとつめは、性的欲求と恋愛。もうひとつは、社会における性差。

たとえば啓太郎が、好きになった男性と男同士で恋をする可能性だってあったはずだ。
それでも彼は、自分が女性になって、意中の男性と恋人になることを選んだ。

聡美のケースでは、露骨に女性の立場の低さが見えてくる。
男女別にされる部活。女性ではなれない仕事の多さ。出産の苦労も女性だけ。

性選択を嫌悪する人々は、作品世界にもたくさんいる。
ある男性たちは性選択をした元男性を「女子のニセモノ」と侮蔑する。
性選択は正しい人間の生き方ではない、と街頭啓蒙活動する人もいる。
制度が変わるのと、人の意識が変わるのは、まったく別だ。

あくまでもラブコメディとして描かれているものの、提起されている問題の根は深い。
キャラクターたちの決断が、本当によい方向に向かっているのかもわからない。

作中のある夫婦は、性転換をし、母親・父親を交代して子どもを育てていた。
性選択を希望する理由は、無数にある。

もしあなたが、性選択できるとしたら、どうしますか?



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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