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11月20日はトランスジェンダー追悼の日 『Jの総て』を読もう! 【きょうのマンガ】

2014/11/20


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『Jの総て』第1巻
中村明日美子 太田出版 \952+税


1998年11月28日。アメリカ・マサチューセッツ州オールストンで、アフリカ系アメリカ人のリタ・ヘスターが殺害された。リタが殺された理由は「トランスセクシュアルだったから」というもの。外見の性別と内面的性が矛盾する人々を差別・憎悪する「トランスフォビア」が起こしたヘイトクライムが、この痛ましい事件だ。
この事件を契機に、トランスジェンダーの尊厳と権利について考える日として毎年11月20日が「トランスジェンダー追悼の日」に設定された。

「他人とは異なること」に悩む人々の煩悶あるいは苦闘、愛憎をテーマにするマンガは少なくない。『Jの総て』は、マリリン・モンローにあこがれるトランスジェンダーの少年・Jを主人公にすえている。
少女のように可憐で、幼いころからモンローの形態模写を酒場で披露していたJは、自分が原因で母親が父親を銃殺、私立カレンズバーグ高等中学校理事長に引き取られ同校に入学する。

そこで出会ったのがカレンズバーグの甥で優等生のポール・アンダーソン。Jはポールに想いを寄せつつも、自分の幸せが相手を不幸にするのではと思い悩む。
舞台を学生時代からニューヨークへと移しながら、私たちはJの人生を追体験することになる。

自分のなかにある女性性にまっすぐ向き合うJの姿はすがすがしく、誇り高くも見える。
他人がどう思おうと、自分に恥じない生き方を選ぶこと。そして、そういう生き方をする人々に対してフェアであること……願わくば、今日がそんなことに思いをめぐらせる日であらんことを。



<文・富士見大>
編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」ほかに参加する。

単行本情報

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