『おどろ領域ナユラ』第2巻
黒谷宗史 幻冬舎 \669
（2014年5月24日発売）

成仏できない霊たちに、癒しを与える女子高生・墨百合ナユラと、それを取り巻く亡霊たちが巻き起こす、ホラーコメディの第2巻。

大胆なコマ割りを使った迫力のホラー描写と、ナユラの間の抜けたかわいさが織りなすギャップが魅力の本作。
そんなギャップが最大限に発揮されるのが、「妖怪をスカートの中にしまう」という、ナユラの設定。意味不明だが、じつにエロい！

第1巻では、主人公であるナユラの紹介を焦点としていたが、最新2巻では、ナユラを付け狙う悪霊の大群「カシマレイコ」や、亡霊虐待を何よりも好む墨百合分家の娘・白百合アンリなど、多様なサブキャラクターが一挙登場。
物語世界が大きく広がり、ストーリーも怒涛のように進んでいく。

今後の鍵となるであろう、重大な謎が続々と提示されていく本巻。
ともすればホラー要素も含めて重い画面に陥ってしまいがちだが、どこまでも呑気なナユラの性格が一服の清涼剤となり、読者にストレスを感じさせない。

「ホラー」と「萌え」という、一見すると水と油のようにも思える要素を、見事に繋ぎ合わせた注目作だ。

＜文・一ノ瀬謹和＞
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。