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11月3日はレコードの日 『レコスケくん』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/11/03


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

11月3日はレコードの日。本日読むべきマンガは……。


RECOSUKEkunCOMPLETE_s

『レコスケくん』
本秀康 ミュージック・マガジン ¥1,429+税


11月3日といえば一般に「文化の日」だが、音楽ファンにとってはそのうえで別の記念日でもある。
アナログレコードを文化財として親しむ主旨で、日本レコード協会が1957年に定めた「レコードの日」だ。

音楽の媒体が移り変わり、データ配信まで台頭した現在だが、じつはアナログレコード人気は国内外ではかえって持ちなおしていたりする。
たとえば日本では本日、全国さまざまなショップやアーティストがいっせいにアナログ盤で新譜をリリースするイベントが実施される(企画公式サイトはこちら)。 これはアジアで希少な(おそらく唯一に近い)レコードプレス工場をもつ東洋化成の呼びかけで実現したものだ。

さて、今回はそのアナログレコードを主題とするマンガを紹介したい。
題名は『レコスケくん』。
音楽雑誌「ミュージック・マガジン」と「レコード・コレクターズ」で1990年代終盤に掲載されたショートコミックだ。

内容は、主人公・レコスケくんが中古レコード屋に通い、できるだけ安売りのいいアルバムを手に入れようとしては悲喜こもごもな体験をする“趣味もの”マンガだ。
『とんかつDJアゲ太郎』をお読みの方は、ショップでレコードをあれこれ探して掘りあてる行動を「DIG(ディグ)る」と称するのをご存じだろう。
『レコスケくん』は、いわばそのDIGのお話に特化した作品なのである。

前から欲しかったレコードが相場の半額でしかも状態は最高! でもジャケットがボロボロ。
あっ、同じレコードが新品なみのジャケットでさらに安い! でも盤面が傷だらけ。
盤をとるかジャケットをとるか……!?

という具合に、購入時の細かい心理をいちいち拾い上げるのがおもしろい。
(ちなみに両方買って組み合わせればよかったと気づくも後の祭りというオチがつく)。

勝負や成長のドラマではない“趣味もの”は昨今でこそジャンルの地が固まっているが、2000年前後だとやや賭けになるテーマではあった。
『レコスケくん』巻末解説で安田謙一が「いきなりの「レコード趣味」の「マンガ」なのである。これって、どうだろう。本当に大丈夫だろうか」と心配したほどである。

しかし大丈夫。
趣味ものは、ネタがわかれば当然楽しいし、わからなくてもわからないコアな言動が描かれていること自体をおもしろがれる。問題はノリのよし悪しだ。

作中、レコスケくんの友人たちが特撮ヒーローとビートルズの関係を語り合うくだりがある。
ゴレンジャーなど戦隊物が同一デザインで色違いの衣装を着るのは、ビートルズがアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(1967)のジャケット写真で着た衣装に影響されたのでは? と推測する場面だ。

「レインボーマンって完全に『サージェント・ペパーズ』だよ!! カラフルな衣装にインドっぽい味つけまでしてあるじゃん!!」
「うん確かにビートルズだ。ダイバ・ダッタはマハリシだしね。愛の戦士だし」
「本当かよ!!」

この会話のリズム。
意味がわかってもわからなくてもこみ上げるものがある。
本作はむしろ、現在でこそ評価しやすいマンガではないだろうか。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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