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『comic M 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー★ミステリ篇』 早川書房編集部(編) 【日刊マンガガイド】

2016/02/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『comic M 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー★ミステリ篇』


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『comic M 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー★ミステリ篇』
早川書房編集部(編) 早川書房 ¥1,500+税
(2016年1月23日発売)


昨年、創立70周年を迎えた早川書房
「ハヤカワ文庫補完計画」など様々な企画が立ち上げられたが、その余波は今年にも及び、早川書房編集部による『comic M』、『comic S』という2冊のコミックアンソロジーが同時刊行された。
前者はミステリコミック、後者はSFコミックの選集である。ここでは『Comic M』を紹介する。

『Comic M』は「プラチナ篇」と「マスターピース篇」の2部構成になっている。
「プラチナ篇」は早川書房のミステリ専門誌「ミステリマガジン」に掲載された作品を再録したもの、「マスターピース篇」は現役作家による描きおろし作品である。
収録作は2~8ページの短めのもの(一番長くて16ページ)。がっちりした謎解きモノというよりは、幻想的な作品やしゃれた小品といったラインナップだ。
「プラチナ篇」には、高橋葉介の「夢幻紳士[出張篇]座敷鬼」をはじめとして、いしかわじゅん、たがみよしひさ、横山えいじらの作品が再録されている。

個人的には、小道迷子「ホームズくんの秘密」の収録がうれしかった。「ミステリマガジン」1987年9月号に掲載された4コママンガで、この作品自体は初めて読むものなのだが、同時期に小道が「ビッグコミックスピリッツ」に連載していた4コママンガ『風します?』は愛読していたので懐かしく思えたのであった。

「マスターピース篇」には、坂田靖子、小原慎司、オカヤイヅミ、吉富昭仁……とベテランから新鋭まで11名の漫画家が作品を描きおろしている。
高橋葉介は、こちらにも「夢幻紳士[営業篇 Come Mad and Go ―さぁ気ちがいになりなさい―]」を引っさげて登場。「ミステリマガジン」との縁の深さを感じさせる。

個人的には『それでも町は廻っている』『外天楼』の石黒正数の「性なる侵入」が楽しめた(題名はP・K・ディック『聖なる侵入』のパロディだろう)。
日頃みんなが不思議に思っていることが、このマンガを読むと腑に落ちるはずだ。それが何なのかは、全8ページのマンガなので、実際に読んで確かめてほしい。

著者紹介や、再録作品の解説などのデータが少ないなど物足りない点もあるが、懐かしい思いが抱けたり、ミステリマンガの最近の潮流に触れることができたり、という1冊で2度楽しめる、ちょっとお得なアンソロジーである。

『comic S 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー★SF篇』の日刊マンガガイドはコチラから!



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「名探偵コナンMOOK 探偵女子」(小学館)にコラムを執筆。現在発売中の「2016本格ミステリ・ベスト10」(原書房)にてミステリコミックの年間総括記事等を担当。また、「ミステリマガジン」(早川書房)でミステリコミックレビューを担当。

単行本情報

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