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『アオイホノオ』第15巻 島本和彦 【日刊マンガガイド】

2016/06/03


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『アオイホノオ』


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『アオイホノオ』第15巻
島本和彦 小学館 ¥590+税
(2016年5月17日発売)


1980年代、大阪で大学生活を送りながら、漫画家を目指す青年・焔燃(ホノオ・モユル)を主人公にしたコメディマンガ。
著者・島本和彦の自伝的な作品であり、あだち充、高橋留美子、庵野秀明、岡田斗司夫といった同時代のクリエーターたちが実名で登場する。

巻頭に「この物語はフィクションである」と大書されており、フィクションの体をとってはいる。
しかし、作中の「少年サンデー」ではあだち充の『タッチ』、高橋留美子の『うる星やつら』が連載されているし、岡田斗司夫らが制作し、庵野秀明らが作画に関わった『DAICON3』のオープニングアニメが手塚治虫を感動させたエピソードなど、80年代のマンガ・アニメシーンを押さえた作品となっている。 それゆえに80年代を知る者には懐かしさを、知らない者には驚きを与えてくれる。

第15巻では、『エリア88』『ふたり鷹』の新谷かおるが、締切間際にもかかわらず、
都内の仕事場から奥多摩まで車を飛ばしてうどんを食べにいく、というエピソードが登場する。
「これはさすがに『フィクション』だよなぁ」と苦笑しつつも「当時だと、そんなことも本当にあったのかな……」とも思わせてしまう。そのような虚実入り混じった物語世界が本作の魅力なのだ。

また、焔は「必殺の転校生」で「少年サンデー」の新人賞に佳作入選し、第2作の原稿を描かねばならない状況で、なぜかクリスマスプレゼント用の「手描きカレンダー」に全力投球する。
しかも、そのカレンダーが意中の女性にわたるようなトリックまで知恵を絞って考え出すのだ。「もっと、ほかにやることがあるだろう!」とツッコみたくなる、焔の若者らしいバカさ加減(それはだれしも経験してきた道なのだが)も楽しみどころである。

第15巻の巻末で、焔燃は1982年の新年を迎える。
1982年には庵野秀明がスタッフに加わるアニメ『超時空要塞マクロス』のTV放送が始まる。
その翌年には、島本和彦の代表作『炎の転校生』が「少年サンデー」で連載開始され、庵野・赤井孝美の作画が爆裂する「DAICON4 オープニングアニメ」が公開されるのだ。

第16巻以降も、活気にあふれた80年代のマンガ・アニメ業界の舞台裏が描かれていくことだろうし、焔は、期待にたがわず若者らしいバカさ加減を発揮してくれるだろう。
ますます目が離せない作品である。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「2016本格ミステリ・ベスト10」(原書房)で国内本格ミステリ座談会とミステリコミックの年間総括記事等を担当。また現在発売中の、「ミステリマガジン」5月号(早川書房)でミステリコミックレビューを担当。

単行本情報

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