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『ちはやふる』 第32巻 末次由紀 【日刊マンガガイド】

2016/08/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ちはやふる』


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『ちはやふる』 第32巻
末次由紀 集英社 ¥429+税
(2016年7月13日発売)


2本連続で公開された実写映画も好評だった『ちはやふる』。
最新32巻では、千早たち瑞沢高校かるた部3年生にとって、高校生活最後の全国大会が描かれる。

太一を欠いた状態のなか、千早は部長の役割を果たそうと奮闘。団体戦3位決定戦に臨み、新のいる藤岡東高校に勝利する。
一方、団体戦優勝戦ではヒョロ率いる北央高校が、王座奪還を狙う富士崎高校を下し、全国大会優勝の悲願を達成。

前巻ラストで、ついに千早が新を破る――というところからの続き。
団体戦のなかでの顔あわせながら、ついに新を破った千早。しかし、お互いなれない団体戦の主将としての戦いをしいられたこともあり、千早には新に勝ったという実感も薄かった。
千早に思いを告げたあと、かるた部から遠ざかっていた太一だったが、千早と新の勝負を目の当たりにする。
かつて新がしたのと同じように、菓子折りに「次は試合で」の書き置きを残す太一。
みんなで戦う夏は終わり、違う始まりの瞬間に太一がいる。再び3人が、かるたの道を歩き始めた。

――というところで、後半は個人戦へと突入していく。
千早、新、太一らがようやく同じ方向を向いて新たな一歩を踏み出すこの巻。主人公3人を描くメインストーリーがいよいよ大きく動き出しそうな予感を与える。

また、『ちはやふる』はそうした主人公たちのみならず、それを取りまく大人たちの描写も出色だ。
体調万全で臨むクイーン・詩暢戦の合間に千早がふと思い出すのが原田先生の言葉だったり、かるた部の顧問・宮内先生が「永遠に続く今日のように楽しむのよ」とみんなを見守っていたり、大人たちがしっかりと支えになっている様子に安心させられる。

個人的には千早の姉・千歳の自己中っぷりがよかった。
あいかわらず"かるたなんて意味わかんない"お姉ちゃんは、高校生活最後の大会の様子を見届けようとする千早の母にわがまま100パーセントで「帰ってきて!」とわめくのだ。
この変わらぬわがままっぷり。かつて巻末の「おまけ4コマ」の常連だった頃を思い出させ、かるたに対して無理解を貫いているマイウェイっぷりがすがすがしい。

部活仲間、師匠、顧問、両親、兄弟、友人……主人公たちを取りまく人々の、かるたに対する思いの濃淡が物語に奥行きを与え、よりいっそう千早たちに彩りを与えている。



<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。

単行本情報

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