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『おんなのいえ』 第8巻 鳥飼茜 【日刊マンガガイド】

2016/11/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『おんなのいえ』


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『おんなのいえ』第8巻
鳥飼茜 講談社 ¥581+税
(2016年10月13日発売)


30歳を目前に5年もつきあった恋人から別れを切り出された姉「有香」を中心に、その妹「すみ香」や母親たちを描いた『おんなのいえ』の最終巻。

いっしょに暮らしている妹は、バイセクシャルで元カレの影がちらつくマコちゃんとのセックスレス問題が解決したと思ったらあっという間に妊娠、何かと頼り頼られの関係にある母親は長い月日を経てとうとう離婚を決意し3人で暮らしてきた実家を処分するといっていて、有香はなんだか自分だけが「前に進めていない」と思って自分を責めてしまう。

連載開始当初は「運命の人かも?」とトキメキの対象だったはずの川谷さんは、有香との関係がうまくいき始めたら「恋する乙女」な感じに急変しちゃうし、逆玉だと意気ごんで一瞬だけおつきあいした大河内さんは性格もいいんだけどやっぱり違うし、とグズグズしていたら、物語の発端になった元カレの圭佑が現れて、ヨリを戻すのかと思いきや「おれ今のコと結婚する」宣言!

登場する男どもが全員「脈なし」という状態で、有香はBLを読みふける現実逃避モードに突入。
美人なだけがとりえで、いちおうOLとして働いてはいるものの、ほとんどダメ人間な有香は、妹や母親から独立して「ひとりで」生きていくことがはたしてできるのだろうか?

人間関係に対する鋭い洞察と、現実の日常生活ではなかなかいい出せないリアルな感情を反映した名ゼリフにあふれた本作だが、衝動に任せて暴走しまくる有香の将来を心配する読者は多かっただろう。
最終巻でも彼女の波乱の「日常」は揺れ動き続ける。とうとう30歳になる有香にどんな展開が待ち受けているのか、ぜひその目で確かめてほしい。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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