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『すうの空気攻略』 第1巻 福井セイ 【日刊マンガガイド】

2017/02/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『すうの空気攻略』


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『すうの空気攻略』 第1巻
福井セイ 小学館 ¥444+税
(2017年2月10日発売)


「空気」と書いて「フェイズ」と読みます。
超ド田舎の島に住んでいた少女・海島雛(うみしま・すう)。
彼女は一人前の女性になりたい、と都会の高校に通うことを決意した。
しかし、同い年の友人が今までいなかった彼女、人間関係づくりがまったくわからない。
母親は、都会での空気の読み方を伝授するための「空気攻略マニュアル」ノートを作成。
すうは、学校での、街での、困った空気感に対して、マニュアルを開きながら立ち向かう。

人間の距離感を逐一確認しながら、一歩ずつ前に進もうとする、すうのズレが楽しいコメディ。
別に内気ではない。世間知らずすぎて、同い年の人間とどう接すればいいかわからないのだ。

母のつくったマニュアルはかなり大げさ。
「空気【閃剣の初太刀】(フェイズ・シャインファストローク)」
「自己紹介の場で発現。空気タイプ『広域型』 攻略レベル『6』」
いわゆる高校入学時のクラスの自己紹介。
1年間を左右する可能性すらある、恐怖の瞬間。
ああ、多人数の同い年に囲まれたすうには、過酷すぎる試練だ!

そのほかにも
「会話の中でダジャレが発生してしまった時(レベル2)」
「授業中虫が入ってきてクラスがざわついた時(レベル4)」
「友達の呼び名を変えようとする雰囲気になった時(レベル6)」など。
「自分はこんな時どういう態度をとっていただろう?」なネタが毎回繰り出される。
意外と母の指摘は的確だ。

結果として、純粋で素朴でポジティブなすうは、母のアドバイスどおりにならず凹むことが多い。
だがそれこそが「自分の本当」を出せている状態。
彼女には徐々に友人ができ、思いもしないところでクラスメイトの窮地を救い、楽しい学園生活の幕は着実に開き始めている。

正直大人のほうが、会社などで空気を読むのには苦しめられるもの。
ヒントにはならないかもしれないけど、読んでいると笑いながら、ちょっぴり励まされる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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