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【インタビュー】つゆきゆるこ『ストレンジ』タイプの異なる男たちが出会い、変化する関係性。読者にもたらす「心地よさ」のありかとは……?

2018/12/17


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、つゆきゆるこ先生!

初単行本作品にもかかわらず、その繊細で緻密な人間描写が多くのファンの心をつかみ、見事『このマンガがすごい!2018』でオンナ編第8位にランクインした『ストレンジ』。

表題作を含む6編の短編からなる本作。各作品に共通するのは、男6組12人の“一風変わった=ストレンジな”出会いとその交流のなかでの心の触れあい。表題作「STRANGE」で、主人公の男子高校生が出会うのは、女装バー勤めの“クマさん”。驚いてしまうような見た目だが、じつは涙もろくてアクティブな彼との出会いが、主人公を少しずつ変えていく……。

今回は、著者のつゆきゆるこ先生に、短編に通底するテーマを見つけるまでの経緯や、つゆき先生が「出会い」を通して描きたかったことについておうかがいしちゃいました!

著者:つゆきゆるこ

2014年にアンソロジー『下衆BL 』(リブレ出版)収録の「せまいせかいに」にて、商業誌デビューを飾る。初単行本『ストレンジ』にて、「このマンガがすごい!2018」オンナ編 第8位にランクイン。既刊に『home』(リブレ)、エロティクス・インサイド (竹書房)など。

Twitter:@tsuyuki_yuruco


マンガづくりの基本は
「出会い、交流し、変化する」こと

――まずは「このマンガがすごい!2018」オンナ編第8位獲得おめでとうございます!

つゆき  ありがとうございます。編集さんからランクインしたと聞いた時は、驚きと感謝で胸がいっぱいでした。

――「男6組12人の物語」の連作がスタートしたのは、同人誌「PRETTY!」がきっかけだったそうですね。

つゆき  はい、それを偶然担当さんが読んでくださって、今に至ります。

――『ストレンジ』では、すべての作品に共通してふだんは深く接することのなさそうな男性たちの結びつきが描かれています。これは、立ち上げ当初から意図されていたのでしょうか。

つゆき  もともと話を描くうえで「出会い、交流することで変化する」ことを大事にしていて、何話か描いた頃に「“出会い”をテーマにした短編集にしましょう」と決まりました。日頃接することのない相手って、接することがないぶん、どういう人かわからなくて、近づくことすらためらうことがあると思います。でも、話してみると意外と気があったり、自分にはない考え方を持っていたりと、刺激的だったりもする。私はそういう部分がおもしろいと思っています。

――物語をつくるうえで難しかったことは?

つゆき  接することのなさそうな2人だからこそ「彼らはどうやって出会うんだろう?」という部分は、あれこれよく考えていました。

――自分とは違うタイプの人間を徐々に理解していくことで、お互いにいい方向に変わっていくのがとても心地よいです。

『ストレンジ』収録作「CONNECT」より。いつもヘラヘラして誤魔化す本庄のことが嫌いだった涼二だったが、本庄の「ある一面」を垣間見たことにより、見方が変わってきて……?

つゆき  多様性を認めあうといいますか、相手の存在を認め、また自分の存在を認めてもらえることは、生きるうえで幸福なことだと思います。

――決して善意や前向きさを押しつけるわけではなく、それぞれの出会いがもたらす豊かさがスッと心に染みわたります。この作品をとおして読者に伝えたいメッセージなどはあったのでしょうか?

つゆき  そういっていただけることがとてもありがたいです。(読者に)寄り添えるような、そんな世界観でありたいとは思っていました。

「小さなことでも、大きなことでも」
心が動く瞬間を描き表したいという想い

――タイトル作の「STRANGE」では、主人公とゲイのクマさんが互いに「ごめんね、怖がらせて」「驚いちゃって」「傷つけていたらごめんなさい」と、相手を率直に気づかうスタンスが印象的です。また、ゲイや女装に対するお母さんの拒絶反応には、「自分もLGBTなどにかぎらず、たまたま見知っていない価値観に対してこういう反応をしていることはないか」と考えさせられました。

『ストレンジ』収録作「STRANGE」より。泣いているクマさんをとっさに気づかう主人公。
もし主人公が怖がって逃げていたら、このまま2人は交わりあうこともなかったかもしれない。

つゆき  ありがとうございます。自分が生きてきた世界と相手が違いすぎて、考える前に拒絶してしまう方や、悪気のないまま相手を一方的に否定する方は実際いるよね、と思いながら描いていました。そういう部分は、私自身が気づいていないだけで、自分にもあるかもしれない。気をつけたいと思うし、読んでくださる方も、何か感じることがあるといいな、と委ねていました。

――この主人公にとって生きる喜びを感じさせるのが同級生ではなかったのは、クマさんが人間としての憧れを感じられる存在だったからなのでしょうか。クマさんが、ただ自由に生きる存在ではなく、大人だけど仕事の泣き言も漏らすところにも説得力を感じます。

つゆき  そうですね、おっしゃるとおり、クマさんがオデコちゃんにとって人間として尊敬できる魅力を感じるからです。

『ストレンジ』収録作「STRANGE」より。素直に弱音を吐く時もあれば、前を向いて新しいことに挑戦するクマさんを見ているうちに、主人公の考え方も大きく変わっていく。

――『ストレンジ』の作品すべてに感じる快感のもとは、出会いを経て「世界が開ける」感覚が描かれているところですね。

『ストレンジ』収録作「BRIGHT」より。出張先のハワイで愛娘の結婚の知らせを聞き、落ちこんでいた幸春に、隣にいあわせた「リノ」という男性からとんでもないお誘いが……!?

つゆき  小さなことでも、大きなことでも、心が動く瞬間を大事にしたいと思っています。

●次回予告
「ストレンジ」が分類されている新たなジャンル、「ブロマンス」っていったい!? 
そしてつゆき先生が「ストレンジ」の登場人物のなかで、続きを描きたいキャラクターについて語る!
後編もお楽しみに!

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『ストレンジ』
つゆきゆるこ リイド社
(2017年5月12日発売)

取材・構成:粟生こずえ

単行本情報

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