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堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』インタビュー 新世代の王道少年マンガはアメコミヒーロー×学園もの! 人気炸裂(SMASH!!)の連載へと短編を進化させた方法とは!?

2016/06/06


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、堀越耕平先生!

ヒーローとバトル、学園と友情、そして特訓と成長・勝利……まさに新世代の“The 王道”な少年マンガ、『僕のヒーローアカデミア』!
『このマンガがすごい!2016』のオトコ編ランキングでは第5位にランクインし、テレビアニメも絶賛放送中の本作、2016年度の最注目作品であることは間違いない!

今回のインタビューでは、この人気作のベースとなった短編作品のことから、スーパーヒーローを扱ったマンガを描こうと考えた際の意外な悩み、そして文字どおり「個性」豊かな人気キャラクターたちを生み出す上での秘密や、堀越先生が思わず「オッ?」と思った読者の反応などを、バッチリと聞いてみました!

著者:堀越耕平

愛知県出身。
大学在学中に読み切り「ヌケガラ」で第72回手塚賞佳作を受賞。

その後「赤マルジャンプ」に、読み切り「テンコ」「僕のヒーロー」「進化ラプソディ」を掲載したのち、「週刊少年ジャンプ」2010年2号に「逢魔ヶ刻動物園」を掲載。この短編作品をベースにした同タイトルの作品『逢魔ヶ刻動物園』を2010年から2011年まで連載する。2012年には同誌で『戦星のバルジ』を連載。
そして2014年、「ジャンプ」にて『僕のヒーローアカデミア』の連載をスタート。

2016年4月からはMBS・TBS系列にて、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』が絶賛放送中!
TVアニメ公式サイトはコチラ

ヒーロー×学園のアイデアは「ヒーローになるまでの経緯」を知りたいから!?

――『このマンガがすごい!2016』でのトップ10ランクインおめでとうございます。アンケートでは幅広い層から票を得ていました。本作が大きな支持を受けたことについて、率直なご感想をお聞かせください。

堀越 とてもありがたいです。ただ、それ以上に気をつけないと……と感じました。連載時期のタイミングなど、運よく時流に乗っていたと思うので「これは自分の実力以上の評価をいただいている状態だ」と言い聞かせています。

――連載開始前に執筆された短編「僕のヒーロー」が、本作の原型になっているとうかがいました。収録されている『逢魔ヶ刻動物園』の単行本にも“もう一回描き直したいくらい思い入れの強いマンガ”と書かれていましたが、新連載のベースとした理由は?

堀越 世界観とキャラクターが、今までのマンガのなかでもっとも描きやすかったからです。連載をまたするなら、これしかない、という思いでした。

――「僕のヒーロー」と『僕のヒーローアカデミア』は、“スーパーヒーローやスーパーヴィラン[注1]が実在する世界に生きる普通の人間という主人公像”や“「闘う力を持っているからヒーローなのか?」というテーマ”などは共通していますが、かなり印象の異なる作品ですよね。

堀越 読み切りではサラリーマンが主人公でしたからね。

――どういったところから着想を得て、主人公の年齢を引き下げ、学園ものの要素を前面に押しだすことになったのでしょうか?

堀越 僕自身、一般的な社会人経験がないこともあって、この設定(主人公がサラリーマン)で少年マンガはムリだろうと考えました。初めの頃はヒーローとして、敵とガンガン戦うものを描こうとしていましたが、なかなかしっくりこないので、そもそも自分はヒーローものの、どこにワクワクしていたのか振りかえってみたところ、「ヒーローになるまでの経緯」に惹かれていたんだと気付きました。そこに気付いてからは、自然と学園ものになっていった気がします。

デク(緑谷出久)の「ヒーローになるまでの経緯」を描くという、ひとりの少年の成長譚である本作。舞台が学園となったのは必然!?

デク(緑谷出久)の「ヒーローになるまでの経緯」を描くという、ひとりの少年の成長譚である本作。舞台が学園となったのは必然!?

――スーパーヒーローもの+学園もののマンガというと、ちょっとニュアンスは違いますが、マーベル・コミックスの『ニュー・ミュータンツ』や『ジェネレーションX』[注2]、またかつての「週刊少年ジャンプ」連載作ですと『ウイングマン』[注3]などがあります。これらの先行作品について、意識している部分はあるのでしょうか。

堀越 そのあたりは意識しないよう心がけています。意識すると、どうしても比べてしまって凹むので……。自分が楽しく描けるようにしています。

――『ウイングマン』の桂正和先生は、アメコミ好きを公言していますが、やはり過去に「ジャンプ」で連載をされていた村田雄介先生もアメコミヒーローのファン[注4]であると語り、作画を担当されている『ワンパンマン』では、その影響も見られるように思います。連載開始時、すでに始まっていた『ワンパンマン』は読まれていましたか?

堀越 読んでいました。ヒーローを描きたいと思った時、すぐに「でももう『ワンパンマン』がある」と考え、しばらくは「描きたい、でももう……」を繰りかえしていました。

――では、執筆を決めたきっかけは?

堀越 ある編集さんに、「キャラが違えば別ものだよ」と背中を押していただけたことで、描き始めることができました。「職業ヒーローもの」という点で、すでに『ワンパンマン』や『TIGER & BUNNY』[注5]など大ヒット作があるなか、比べられる、パクリだと言われる……そういった大きな壁にぶつかることはわかっていたので、先ほど述べたように、先行作品は意識しないよう、自分が楽しく描けるよう努めました。ただ、ディズニーの『スカイ・ハイ』[注6]は、恥ずかしながら連載が始まってから知りまして……設定が酷似していたことに愕然とした記憶があります。知ってからしばらく、頭が真っ白になりました。

――でも『僕のヒーローアカデミア』は、それこそ少し類似した設定がある『スカイ・ハイ』のような先行作品と比べても、アメコミテイストが少年マンガという型のなかで、とてもよいアクセントになっているのもあり、かなりオリジナリティの高い作品になっていると感じます。そのアメコミテイストなのですが、海外コミックの愛読者とそうではない人たちの間には、いわゆる“アメコミっぽさ”にも大きなギャップがありますよね。そういった部分のさじ加減は、やはり意識して描いてらっしゃるのですか?

堀越 アクセント程度に、とは常々考えています。アメコミっぽさを出しすぎると「ジャンプ」の読者には、ただただ読みづらいものになるだけなので。オノマトペ(描き文字の擬音)も英語が多くなりすぎないようにしています。半分以上は自己満足なので、やりすぎると押しつけがましくなると思ってます。

アメコミ的なアルファベットでの擬音表現。

アメコミ的なアルファベットでの擬音表現。

――「僕のヒーロー」は、どちらかというと日本の特撮やマンガのヒーロー的アプローチでしたが、連載であえて日本人になじみの薄いアメコミ的な要素を入れてきた理由は?

堀越 「(作中の他のキャラクターと)画風の違うアメリカンヒーロー」という、オールマイトのキャラクターが生まれて、そこに引っ張られていった感じです。

いわゆる一般にイメージされる「濃いアメコミキャラ」的なタッチで描かれるオールマイト。

いわゆる一般にイメージされる「濃いアメコミキャラ」的なタッチで描かれるオールマイト。


  • [注1]スーパーヴィラン フィクションの世界、とくにアメリカン・コミックスに登場する、怪人・モンスターや、主人公(スーパーヒーロー)と敵対するキャラクターのこと。日本でも有名なスーパーヴィランに、『バットマン』のジョーカーや『スパイダーマン』のヴェノムなど。
  • [注2]『ニュー・ミュータンツ』や『ジェネレーションX』 ともに「X-MEN」シリーズのひとつ。若きミュータントたちによるヒーローチームの活躍を描く。
  • [注3]『ウイングマン』 桂正和の連載デビュー作。ヒーローに憧れる中学生・広野健太が、書いたことを現実のものとさせる不思議なノートの力で、スーパーヒーロー・ウイングマンへと変身。ヒーローとしても少年としても成長していく姿を描く。1984年には『夢戦士ウイングマン』のタイトルでアニメ化。
  • [注4]村田雄介先生もアメコミヒーローのファン 最近では、並行世界のスパイダーマンが集結する話題作『スパイダーバース』(ヴィレッジブックス)で、日本オリジナルのカバーイラストを担当。
  • [注5]『TIGER & BUNNY』 サンライズ制作によるTVアニメシリーズ。NEXTと呼ばれる特殊能力者たちが、スポンサー企業の援助を受け「プロの職業ヒーロー」として活動する世界が舞台。
  • [注6]『スカイ・ハイ』 2006年に日本公開された、ディズニー制作の実写映画。さまざまな特殊能力を持った子どもたちが、立派なスーパーヒーローに成長するため、空の上にある秘密のヒーロー学校「スカイ・ハイ」で日々を送る。

単行本情報

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