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師走ゆき『高嶺と花』インタビュー 恋愛マンガの「キュン」は「かめ○め波」と同義!? 超王道恋愛コメディでキュンキュンがノンストップ!!

2016/07/18


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、師走ゆき先生!

ハイスペックなのにいろいろ残念な俺様キャラの御曹司「高嶺」と負けん気の強い庶民派女子高生「花」が、喧嘩しながらも惹かれあってゆく様を描いた『高嶺と花』。
ラブコメの王道をゆく胸キュンストーリーと過剰なまでに濃ゆい2人のキャラクター、既成の少女マンガの枠におさまらないキレッキレのギャグセンスとのミスマッチにハマる人続出!
『このマンガがすごい! 2016』オンナ編第11位にランクイン。待望の単行本第5巻も7月20日発売と、まだまだ中毒者を増やしてゆきそうな本作について、作者の師走ゆき先生にお話をおうかがいしました。

著者:師走ゆき

2009年、白泉社アテナ新人大賞を受賞。
『花とゆめ』(白泉社)にて『高嶺と花』を連載中。
最新第5巻は7月20日発売。

恋愛マンガの「キュン」は「かめ○め波」と同義!?
師走先生の考える恋愛マンガとは!?

――まずは『このマンガがすごい! 2016』オンナ編にランクインした率直なご感想をお願いします。

師走 光栄に思います。より多くの人に作品を知っていただけると思うととてもうれしいですし、票を入れてくださった方々に感謝です!

――『高嶺と花』という作品は、そもそもどのように始まったのでしょう?

師走 担当さんから「エリート社会人と女子高生のお見合いから始まるラブストーリーはどうか」という提案をいただいたのが始まりです。当初は正直、定番すぎやしないか? と思いましたが、結果的に描きやすくて自分でも意外でした。
もともと少女マンガらしくない部分のある作風だったので、かえって王道の様式美と相性がよかったのかもしれません。もしかして、担当さんもそれを見抜いていたのかも……。
なので、それ以外のコンセプトも特にはなかったんですが、描いてみたら想定以上にキャラが濃くなりました。

――『高嶺と花』の魅力は、そのキャラの濃さですよね。高嶺は御曹司でイケメンで身長も高くて仕事もできて高慢ちきで、しかも、いわゆるクールな黒王子とも違う、自分を大きく見せようとする痛くて大人げない残念キャラです。普通なら少女マンガの主人公にはならないタイプだと思うのですが……。

師走 それは私の好みが大きく影響していると思います(笑)。隙のない完璧超人より、ダメでも愛嬌のあるキャラに惹かれるんですね。この作品ではムカつく相手をやりこめる爽快感みたいなものも描きたかったので、とにかく腹の立つキャラにしようと思いました。ヴィジュアル的には、花が16歳という設定なので、16歳から見た26歳というイメージで、普通の26歳よりは大人っぽく見えるように心がけましたね。

――何かあると「お前の親父の勤め先がうちの子会社だってこと忘れたか?」と花を脅す。しかも、ギランギランの外車で校門前に乗りつけて、黄金のバラを贈り、高級レストランで食事……という、ほとんどギャグとしか思えない成金趣味ですよね(笑)。ここまで御曹司キャラをデフォルメしたのはなぜなのでしょう?

世にいる方が持つ成金のイメージが具現化された残念御曹司・高嶺のお出迎えシーン♪

世にいる方が持つ成金のイメージが具現化された残念御曹司・高嶺のお出迎えシーン♪

師走 マンガやドラマのベタな御曹司キャラというと「育ちのいい王子様タイプ」と「性格のゆがんだ俺様タイプ」がパっと浮かぶんですが、高嶺は私が持ってる後者のイメージの集大成。「御曹司キャラってこういうものだよね」っていうのを自分なりに突きつめてみました。そのほうが読者さんにも、パっと見ただけで「こういうキャラなんだな」って印象づけられますし。キャラがベタであればあるほど、ベタじゃないことをしたときのギャップも際立つかなと。

――なるほど。大人げない成金キャラなのにけっして嫌なヤツにならない、むしろ、その高飛車さがかわいらしく思えてしまうのは、ごくたま~に不器用で純粋な素顔や大人らしい気づかいを見せるからで、その不意をうつギャップがたまりませんね。

師走 ありがとうございます。ギャップがうまくハマるように、デフォルメ顔と真面目な顔で落差を付けたり、普段のバカっぽい言動に対して決めシーンではちょっとひねった言いまわしをさせてみたり、あれこれ腐心してますが、キュンはやりすぎると希少価値が下がってしまいそうなので、ある程度出し惜しみしてます(笑)。1話につき1キュンぐらいかな。恋愛マンガの「キュン」はバトルマンガの必殺技みたいなものかなと思っています。

王道でなければ、たどりつけなかった極上の「キュン」!!

――花は御曹司の高嶺に対して庶民派で、いわゆる美人や優等生ではないけれど負けん気が強い、タフで親しみやすいタイプのキャラクターですよね。

師走 主人公なので、なるべく読んでいる人が共感しやすいキャラにしたいと思いました。いい子なんだけど天使というほどではなく、自分が損しないように立ちまわるところもあって。高嶺と張りあうので、それなりに自分に自信を持ってないとダメだよなって……。いちおう「年の差もの」なので、年の差を強調するために外見は幼めで、制服もブレザーだとスーツと近いのでセーラー服にしました。草案では高嶺に対してタメ口をきく設定でしたが、ただでさえ生意気なのに礼儀の欠片もないのは、かわいげないかなって、敬語になりました。

――たしかに、登場当初は今どきの高校生にしては幼い雰囲気で、かわいらしさよりもキャンキャンした負けん気が勝っていた花でしたが、物語が進むにつれて、女の子らしいせつない表情を見せることも増えてきて、どんどんかわいらしくなってきています。その変化は先生の計算なのでしょうか?

師走 いや、これは計算ではなくて、高嶺への気持ちが進むにつれて自然と花の表情も変わってきましたね。女の子は恋で変わるんだな……って、思いながら描いてます(笑)。

ゆっくり、ゆっくりと恋を知り落ちていく――。花の表情の変化から、ただ高嶺の傍にいるだけで惹かれていく様子がうかがえる。

ゆっくり、ゆっくりと恋を知り落ちていく――。花の表情の変化から、ただ高嶺の傍にいるだけで惹かれていく様子がうかがえる。

――対照的な2人が反発しながらも惹かれあってゆく……といったストーリー自体はベタと言ってもいい王道だと思うんですが、2人の会話の掛けあいはかなりシュールでツボにハマります。

こちらが件の「壁ドン」シーン。壁ドンした側がタジタジになるのはレアすぎる(笑)!

こちらが件の「壁ドン」シーン。壁ドンした側がタジタジになるのはレアすぎる(笑)!

師走 設定とストーリー自体は王道なので、小ネタやセリフ等でできるかぎり工夫しなくちゃ! と心がけてはいるんですが。ひとつのネタをひねりだすのに、いつも相当な時間を要したりしているので、そう言っていただけると本当に報われます……!
「何が萌えるかな? 何がかわいいかな?」とひたすら妄想あるのみです。ワンシーン考えるのに何日もかかったりします。基本的には自分の萌えポイントを盛り込んでます。

――高嶺と花はスペックとしては対照的ですが、似た者同士でもありますよね。しかも、カップル2人ともがツンデレという設定が新鮮ですが、そこはこだわられた部分なのでしょうか?

師走 ムカつく相手をやり込める爽快感を描くためには、両者とも気が強い必要があったので、結果的にツンデレカップルになりました。「こうされたらどう返すか」というのを考えるのが苦労する部分でもあり、ゲームを攻略するみたいな楽しい部分でもありますね。

ニヤニヤと爆笑で表情筋が筋肉痛に!?
ストーリーを盛り上げるステキで濃すぎなキャラたちから目が離せない!!

――「私だけが知ってる彼の魅力」「お前といるときだけは素でいられる」といった恋愛モノのツボをしっかり押さえながらも、その枠にとどまらないギャグセンスもすばらしい。「笑い」に関して影響を受けたものはありますか?

師走 昔から「おバカ」なのが好きで、アニメに加えて、お笑い番組やバラエティ番組も好んで見てました。「おバカ」だけでなく「シュール」なのも大好きで、ホラー系アニメとか『世にも奇妙な物語』みたいなのも見てましたね。マンガは少年マンガも積極的に読んでいたので盛大に顔を崩してしまうのは、そちらの影響かもしれません。

――年の差コメディということで、学園祭や夏休みの旅行など、高校生ならではの甘酸っぱいシチュエーションと同時に、高級レストラン、ホテル、企業パーティーといった大人の世界も描かれていて、その対比がまた魅力的です。

師走 学校行事なんかは昔を思い出しながら楽しく描いていますし、自分の経験にない世界を調べたり想像したりするのも楽しいですね。お気に入りのシチュエーションは第7話の海での言いあいです。せっかく海に行くんだから水のかけあいをして、ずぶぬれになったり夕日をバックに浜辺で追いかけっこをしたり、コテコテでバカみたいなことを全部させたいと思って描きました(笑)

――ルチアーノは当初ライバルかと思いきや、じつは花以外にただひとり、本当の高嶺を理解している人物で。チャラいようで実は配慮のあるいいヤツ。彼と高嶺とのベタベタしない友情関係には、腐女子心をくすぐらずにいられません!

師走 男同士の対等な関係は、やっぱり憧れますよね。表面的には仲よしこよしというわけでなくても、行動や言葉の端々から思いやりや「こいつならこれくらい言っても大丈夫だろう」っていう信頼が見えるといいなあと思って描いてます。
高嶺も花もプライドが高いので関係が膠着しがちなので、ルチアーノは2人の間に新しい風を吹き込ませるために登場させたキャラです。ノリで引っ張りまわしてくれる、作者にとっての便利屋であり、高嶺とは正反対の派手で自由な天性のセレブキャラなので、作品に華やかさが増すといいなあと思って描いてます(笑)。

ルチアーノと花の初対面シーン。さすが、旧友。登場の仕方が、高嶺とそっくりだ……。

ルチアーノと花の初対面シーン。さすが、旧友。登場の仕方が、高嶺とそっくりだ……。

――花とおかモンの幼なじみ関係もそそられます。

師走 連載化が決まった時に、わりと軽いノリで花のことが好きな同級生をひとり作っておこうと思って、高嶺が成人でお金持ちヒーローなので、逆に庶民派でちゃんとしたいいコにしようと(笑)。キャラクターとしてここまで膨らんでくれると思ってませんでしたが、おかモン好きと言ってくださる方もけっこういらっしゃるので、活躍させるべきところはきちんと活躍させてあげたいですね。

幼馴染みの花のことを気にかけるおかモン。10歳上の高嶺と花のお見合いに心配していたが……。

幼馴染みの花のことを気にかけるおかモン。10歳上の高嶺と花のお見合いに心配していたが……。

――連載開始当初は、ほぼ高嶺と花のやりとりだけで終始していましたが、3巻以降は花の親友の2人もようやくキャラが立ってきたり、鷹羽会長や霧ケ崎さんなど、高嶺の会社の人間関係も絡んできて、群像ドラマ的なおもしろさが出てきましたね。

師走 霧ヶ崎は春のサイン会でも何名かの方にイラストのリクエストをいただいたり、予想以上に人気で、活躍させてあげなきゃ!って思っちゃいますね。
一辺倒に高嶺と花のやり取りだけを描くとマンネリ化してしまうので、当初から群像ドラマ的な展開は想定していたんですが、実際にキャラが増えるとストーリー構成の幅も広がるし、花といっしょじゃない時の高嶺を高嶺目線で描く……とかは、キャラが2人だけの時はできなかったことなので、キャラが増えていろんな目線で描けるのが新鮮で楽しいですね。

――7月20日には最新5巻も発売されますが、第5巻にも新キャラが登場するのだとか。ぜひ最新刊の見どころをおうかがいしたいです。

師走 第5巻には、鷹羽家関係の新キャラと高嶺の高校時代に関わる新キャラが登場します。新キャラと関わることで、高嶺の新たな一面が垣間見える巻になっていると思います。 花の気持ちの進み具合にも注目してもらえるとうれしいです。 ちなみに、コミックスカバーはだるまです! 2巻が赤薔薇、3巻がトマトということで赤っぽいイメージが続いたので、4巻の白薔薇でワンクッションおいてからのだるまです! ただ、本編ではだるまの活躍はありません(笑)

「花とゆめ」が贈る注目度No.1ラブコメ『高嶺と花』最新第5巻は7月20日(水)発売!

「花とゆめ」が贈る注目度No.1ラブコメ『高嶺と花』最新第5巻は7月20日(水)発売!


次回は師走先生のルーツや、『高嶺と花』の今後についておうかがいしていきます。
インタビュー第2弾は7月25日に更新予定、お見逃しなく!

取材・構成:井口啓子

単行本情報

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