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『恋は人の外』第1巻 南マキ 【日刊マンガガイド】

2016/04/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『恋は人の外』


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『恋は人の外』第1巻
南マキ 白泉社 ¥429+税
(2016年3月18日発売)


『こももコンフィズリー』の南マキが『恋は人の外』で初のファンタジーに挑戦している。

10年前、津雲小夜はある少年と「もう一度君に会う為に、必ず君の名を呼ぶ」という約束を交わす。
高校生になった小夜は、約束はおろかその出来事のことも忘れより強くなるため空手の練習に打ち込む日々を送っていた。

なかなか名を呼ばれないことにしびれを切らし、小夜の前に現われたあの時の少年。
その正体は妖怪で、自分に惚れている小夜を食べるという――。

妖怪と人間のラブコメを小気味のよいテンポで描いた同作。
まだ恋とは何かを知らない2人の距離が徐々に近づくのを見守る楽しさはもちろん、“強さとは何か”をいっしょに探していく物語ではないだろうか。

小夜が空手少女になったのには理由がある。原因不明の病で体を動かせなくなった弟を元気づけるため、弟といっしょに強くなっていくためだ。

大会で優勝するほどの実力を持ち、周囲からも一目置かれる存在である小夜。
しかし、ひたすら強くなることだけにまい進してきた彼女が空手部の部員の前で敗北を喫することになった時に見せた姿こそ強さだと思う。 そうした一つひとつの強さを積み重ねて、小夜がどんな成長をとげるのかも楽しみだ。

小夜を追いかけてきた妖怪の陽もまた魅力的。
人の姿ではない時は大きな犬型の化物で、小夜をずっと待ち続ける姿勢は犬そのものだが、どことなく自由気ままで猫っぽさのある性格。
この犬らしさと猫っぽさの行き来にキュンときてしまう。

作中にはまだまだこれから明かされる謎も多い。
これからの盛り上がりにも期待!

<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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