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「ジャムおじさん」引退……!?【B級ニュース】

2018/01/30


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「レジェンド」の引退について。


『ジャムおじさんの そ・れ・い・け!クッキング』
城戸崎愛(監) フレーベル館 ¥1,311+税
(1993年1月30日発売)


横綱・日馬富士、音楽プロデューサー・小室哲哉、サッカー・平山相太選手、そして幕之内一歩(『はじめの一歩』)。
今年に入ってから、各界の大物たちが次々と引退を表明している。
そしてまたひとり、時代と文化を築いた偉大なレジェンドが引退を表明した。
それが梅の花本舗(東京都荒川区)の販売している駄菓子「梅ジャム」だ。
「梅ジャム」をせんべいにつけて食べたことがある人も数多いことだろう。
唯一の作り手である高林博文氏(87)が高齢にともなう体力の限界を理由に、創業70年の節目に引退を決意された模様。
高林氏こそ、70年にわたって「梅ジャム」をつくり続けた「ジャムおじさん」なのである。すでに昨年12月をもって製造を終了したとのことで、SNS上には「ジャムおじさん」引退を惜しむメッセージがあふれた。

あのしょっぱい味を、もう楽しむことができない……!
後継者不在の「引退」なので、現在市場に出回っている在庫がラスト「梅ジャム」ということになる。その賞味期限は1年。買い占めて倉庫にXEM(ネム)らせておいた「梅ジャム」にプレミアム価格がつき、まるで仮想通貨のレートのように暴騰するかもしれない。いや、そんな巨ジャム流出が起こる前に、われわれはほかのジャムを見つけておかなければなるまい。
そこで今回は、さまざまなジャムの種類をマンガで下調べすることにしたい。
兄さんが知らないはずがないだろうッ!!

『だがしかし』 第1巻
コトヤマ 小学館 ¥429+税
(2014年9月18日発売)


まず最初に、ぼくたちの大好きな「梅ジャム」についておさらいしておきたい。
ピックアップするのは『だがしかし』(コトヤマ)。
駄菓子屋を継ぎたくない主人公・鹿田ココノツと、大手菓子会社「枝垂カンパニー」の社長令嬢・枝垂ほたるが繰り広げる、駄菓子を題材にしたハイテンションなギャグ・コメディ作品である。 2018年1月からは、TBS系列でアニメ2期『だがしかし2』も絶賛放映中だ。
本作の「第46かし 梅ジャム」(コミックス3巻収録)の回は、まさに「梅ジャム」を題材にした回である。本編中には梅の花本舗の高林博文氏も実名で登場し、梅ジャムの秘話が明かされるので、いまこのタイミングでは必読のエピソードといえるだろう。
現在、小学館の運営するWebマンガサイト「サンデーうぇぶり」では、この「第46かし 梅ジャム」が無料公開中となっている。
「梅ジャム」製造中止のニュースを受けての、小学館の粋なはからいだ。
ぜひこの機会にチェックしよう!

『DRAGON JAM』 第1巻
藤井五成 小学館 ¥524+税
(2010年10月29日発売)


そして次なるジャムは『DRAGON JAM』(藤井五成)。
ストリートボール(ストリートバスケの正式名称)を題材にした作品である。
主人公の立花龍也(通称ドラゴン)は、母子家庭で育つ中卒のフリーター。アルバイトと賭けバスケで日銭を稼ぎながら、ストリートボールのプロ選手になることを夢見ている。
ある日、賭けバスケに敗北して有り金すべてを失い、龍也は失意のドン底に。そんな彼の前に現れたのが、謎のストリートボール選手・TJ(ティージェイ)。TJの手ほどきを受け、龍也とそのチームは力をつけていき、ストリートボールの大会に挑むのであった。
なお、バスケ用語で「JAM」とはダンクシュートのことを意味する。
そう、「ジャム」という言葉には、果物を煮詰めてつくったペースト状の保存食品以外にもいろいろな意味があったのだッ!

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』 第1巻
平尾アウリ 徳間書店 ¥620+税
(2016年2月13日発売)


そして「ジャム」という言葉が持つ、また別の意味としては音楽用語がある。
ジャムセッションのジャムだッ!
ジャズ演奏家が集まって、自由な雰囲気のなかで即興演奏をすることをジャムセッションというのだ。元来はジャズ用語だったが、現在では広く音楽全般にも使われるようになっている。
その用例は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ)でチェックしたい。
地方アイドルを熱狂的に応援し続ける女性ドルオタ・えりぴよの奇行が話題の、アイドルマンガである。
えりぴよが熱烈に応援しているのは、岡山県で活動する地下アイドル「ChamJam」。ここにもジャムがあったのだッッ!!
えりぴよの激単推しは、内気で人見知りな人気最下位のメンバー・舞菜。
舞菜のために人生のすべてをなげうった、えりぴよの壮絶なドルオタ人生を、舞菜に送るねちっこいジャムのような視線を、ぜひともご堪能あれッ!
舞菜マジ天使ッッ!!!!

各界で相次ぐ引退は、ユズリハのようなもの。ユズリハの木は、枝先に若葉が芽吹くと、前年の葉がその場を譲るように落葉していく。レジェンドが道を譲れば、そこにあたらしいタレントが出てくるものだ。
「梅ジャム」の場合は、高林博文氏の後継者は不在だけど、あの味を懐かしむ者が、もしかしたら第2、第3の「ジャムおじさん」になるのかもしれない。
なに、楽観的すぎやしないかって?
ジャムだけに、甘くなめているかもしれないけれど、未来のことはどうなるかわからないし、それだったら気楽にいきましょうよ。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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