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『水上悟志短編集「放浪世界」』 (水上悟志) ロングレビュー! 日常系、SF、ファンタジー、時代もの……。水上ワールド全開の最新作は、「すこしふしぎ」な短編集!

2018/03/14


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは『水上悟志短編集「放浪世界」』

『水上悟志短編集「放浪世界」』著者の水上悟志先生からコメントをいただきました!

著者:水上悟志

短編集を沢山出すのが夢だったので今回4冊目の短編集を出せて嬉しく思っております。
表紙のヒロイン登場作品の「虚無をゆく」が一番の大作ですが双子のモブ顔めがねっ娘の読切もかわいく描けたと思ってるのでそちらも見てやってください。
4月末からアワーズで連載を始めるので、そちらもよろしかったら見てやってくださると幸いです。

『水上悟志短編集「放浪世界」』
水上悟志 マッグガーデン ¥571+税
(2018年1月10日発売)


『惑星のさみだれ』 『戦国妖狐』などで知られる水上悟志の短編集。
日常系、SF、ファンタジー、時代ものと、幅広いジャンルが取り揃えられている。
全5作の収録作のうち3作品が24ページ、短いもので16ページ、中編が74ページと長短はさまざまながら、いずれの作品も描きたいものの尺にあわせて描かれたボリューム感で、その適切な長さがなんとも心地よい。

「竹屋敷姉妹、みやぶられる」は、軽妙な日常系。竹屋敷家の双子のメガネっ子姉妹・雪花と冬花は、「同一人物になる」ことを究極の目的にしている変わり者。クラスを入れかわっても見破られないほどの2人だったが、冬花のクラスの梅松くんにはどうやら見分けられているようで、すっかりパニックに。思いつめた2人は梅松くんに「「しんでもらう」」と襲いかかるが…。双子姉妹にトキメキとともにもたらされるささやかなうれしさに、ついついこちらの頬まで緩んでしまう。

梅松くんにみやぶられ、驚く雪花と冬花。不思議がるふたりは無茶な行動に……。「モブ顔ヒロイン」を見分けられる男子の眼力の源は?

「まつりコネクション」は何気ない日常にふりかかる、すこしふしぎな物語。人間の頭の上に住んでいる「小さな宇宙人(ドワーフ)」が見えるまつり。地球はすでに侵略されている…わけではなく、ドワーフたちは人間の意識に影響されながらただ頭の上に住んでいる。そんなある日、「超次元UFOロボみそ田楽」に乗りこみ、宇宙のドワーフたちが大挙して地球へとやってきた。

地球に侵略を開始した超次元UFOロボ・みそ田楽。謎の「地球意思」にも歓迎(?)され、内部から大量の「小さな宇宙人(ドワーフ)」が街中に放出される。

「今更ファンタジー」は老婆からもらった魔法のランプから出現した妖精に頼んで、子どもの頃の夢を実現する話。くたびれた中年男がランプの精に願うやいなや、たちまち中二病全開の「ぼくがかんがえたさいきょうのゆうしゃ」に! 突如やってきた衣装も性格もごちゃごちゃしている「全部乗せヒロイン」の話によると、千年前に宇宙犯罪で魔界に封印されていた伝説の妖魔獣王が復活。超能力魔剣士サイボーグ精霊使いとなった中年男は、妖魔獣王を倒すために立ち向かう! 物語のなかでランプの精が唱える呪文「てけれっつの…ぱあ!!」は、落語「死神」にでてくる死神を追い払う呪文。ストンときれいに落ちるサゲの部分も落語風で楽しい。

中学時代のノートに書かれた勇者は中二病全開!! ある種の「なろう系」だが、落語風の展開に思わず見入ってしまう。

単行本情報

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