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【ロングレビュー】異形の生物と共存する世界、そのとき人間は何を想うか。『田中雄一作品集 まちあわせ』 田中雄一

2014/08/13


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『田中雄一作品集 まちあわせ』
田中 雄一 講談社 \1,200+税
(2014年6月23日発売)


数多くの漫画家を排出してきた「月刊アフタヌーン」が主催するマンガ新人賞・四季賞。その四季賞を受賞した短編「害虫駆除局」が「月刊アフタヌーン」の付録「四季賞ポータブル」に掲載されたのは、2009年のこと。人間を襲う巨大な虫・十二脚虫に立ち向かう公務員の懸命でやるせない物語は、マンガ好きやSFファンの心に爪痕を残した。

そして、2014年6月に「害虫駆除局」を含む、田中雄一の初となる単行本にして、初の作品集が刊行されると、なんと本サイトの7月の「このマンガがすごい!」ランキングの「オトコ編」で堂々の2位にランクイン。なみいる人気マンガを従えてのこの順位は、驚くとともに納得でもある。私も、まるで世の中のすべての時間が止まったかのように、夢中で作品集のページをめくった。

むやみに十二脚虫を殺すことに否定的な害虫駆除作業員・小野崎。だが、負傷した彼は虫たちの巣のなかで目を覚まし、卵を……。(「害虫駆除局」より)

むやみに十二脚虫を殺すことに否定的な害虫駆除作業員・小野崎。だが、負傷した彼は虫たちの巣のなかで目を覚まし、卵を……。(「害虫駆除局」より)


収録されているのは、「害虫駆除局」「プリマーテス」「まちあわせ」「箱庭の巨獣」、いずれも滅びの予感漂う4編。一読すれば、この本が大判である理由がよくわかる。生きた人間に卵を産みつけ幼虫の苗床にする似我虫(ジガムシ)、人類と同程度まで進化した多様な類人猿たち、人間が暮らす巣を守る巨獣・麒麟……強烈な存在感を放つ異形たちが目に飛び込んでくる。

それらは決して悪夢的で荒唐無稽なクリーチャーではない。現代社会に現れ、私たちと敵対、あるいは共存していてもおかしくないだけのリアリティを保っている。それでいて生理的な嫌悪感や異物感をかきたてるのだから、その生態、ビジュアルには息を呑む。

単行本情報

  • 『田中雄一作品集 まちあわせ』 Amazonで購入

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