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5月31日は「打撃の神様が2000本安打を達成した日」 『巨人の星』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/05/31


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが 「きょうのマンガ」です。

5月31日は打撃の神様が2000本安打を達成した日。
本日読むべきマンガは……。


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『講談社漫画文庫 巨人の星』 第1巻
梶原一騎(作) 川崎のぼる(画) 講談社 ¥620+税


1956年5月31日、「打撃の神様」と称されたプロ野球選手・川上哲治氏(当時は巨人)が日本プロ野球史上初となる2000本安打を達成した。
今日5月31日は「打撃の神様が2000本安打を達成した日」である。

川上氏は現役時代に5度の首位打者を獲得するなど活躍し、監督としても巨人をV9に導き、数々の偉業を打ち立てたレジェンド中のレジェンド。
マンガのなかでもたびたびモチーフにされており、その代表例が『巨人の星』だ。

物語冒頭、長嶋茂雄(当時)の入団会見に同席した川上氏は、そこで星飛雄馬と運命的な出会いを果たす。
やがて川上氏は監督として星飛雄馬を巨人軍に入団させることになるのだが、この初対面となる長嶋入団会見の際、川上氏は幻となった“史上最高の3塁手”について述懐する。

その3塁手こそ、昭和17年と23年に巨人軍に在籍した星一徹その人であった。
戦争で肩を壊した星一徹は、復員後の昭和23年、魔送球(打者走者にぶつかるようにみせる送球)で再起を図ろうとする。
しかし川上氏は、投手であればビーンボールに相当するような魔送球は“巨人軍の伝統”にふさわしくない、と苦言を呈し、星一徹は球界をあとにするのであった。

たしかに巨人軍(読売ジャイアンツ)は日本球界でもっとも古い歴史と伝統を持つ球団だが、その前身となる大日本東京野球倶楽部が創設されたのは昭和9(1934)年。
川上氏と星一徹が会話した昭和23年のシーズン開幕前の時点で、14年の歴史しか持たない。
それでいて作中の川上氏は「幾多の先輩たちが血と汗で築き上げてきた王者の栄光と名誉だ!」と、すでに名門の自負と矜恃を抱いている様子がうかがえる。
パイオニアにしてナンバーワンの意識が、作中の巨人軍を巨人軍たらしめているのだ。
であればこそ、星一徹・飛雄馬の父子は栄光の巨人軍を目指して、身命を賭していくことにも説得力が生まれる。

「打撃の神様が2000本安打を達成した日」には、フィクションのなかで見せた、ドン川上の威厳に打ち震えよう。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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