日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『グレートヤンキーみちるくん』
『グレートヤンキーみちるくん』 第1巻
内々けやき 秋田書店 ¥600+税
(2017年4月7日発売)
不良たちが集まる男子校、私立京北高校。
ひりつく生徒たちのなかに転校してきたのは、まるで子猫のようにかわいらしい少年、大河みちる。
見た目はまるで女の子。かわいいものが大好きで、趣味も完璧に乙女。
1年生のリーダー、安原隆太が彼に目をつけた。やばい、一触即発の事態か?
じつは安原もかわいいもの好き。あっという間に大河と仲よくなる。
まわりの不良たちも、次々と大河にほだされる。裏表なく微笑む大河に、だれも勝てない。
著者が以前描いていた、見た目がかわいすぎる先生と不良生徒の絡みを描いた『しょたせん』と、ノリは同じ。
『しょたせん』よりシモネタ度は少なめ。一方で大河は乙女度が高く、かなり小悪魔な性格になっているので、ショタコンじゃない人でも読んでいてドキリとすること間違いなし。
不良たちが大河のことを勘違いしっぱなしで、「あいつヤベえ」とビビるのが楽しい。
また大河の正体を知っている面々も、彼のキュートな言動にメロメロでトゲを抜かれっぱなし。
“不良はかわいいものが好き”というのは、魅力的な組みあわせだ。強面だけどじつは……というギャップがあると、キャラへの愛着がぐんと高くなる。
出てくる不良たちほぼ全員が、大河に悪い感情を抱かないので、不良たちがどんどんかわいらしく見えてくる。
不良とのギャップで引き立っていく、大河の持つかなりの量の“かわいい”の記号。
“男性から見たかわいい少年”という、日本で定着した萌え文化の1ジャンルを代表する作品になりそうだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」